WiMAX2+の新しい速度制限ってどう?【3日間3GB vs 3日間10GBの比較】

WiMAX2+の速度制限のルールは、2017年2月に大幅に変更されました。多くのメディアでは「速度制限は緩和された」と好意的ですが、実際にはどうなのか詳細に新旧ルールを比較します。さらに、新しいルールはどういったユーザーに影響があるかを具体的な例をあげて説明しています。

Contents

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ギガ放題向け新旧速度制限の比較表

2017年2月、WiMAX2+ギガ放題プラン向けの速度制限の内容が変更されました。多くのメディアではこの変更に関して、以下のように「速度制限が緩和された」と好意的に伝えています。

「WiMAX 2+」速度制限を大幅に緩和 3日で3GB→10GBに- ITmedia

UQ WiMAXがユーザーの不満で通信速度制限を緩和 – 日経トレンディネット

実際には、どのようにかわったのでしょうか? まず新旧速度制限を比較表にしてまとめてみます。

新旧WiMAX2+速度制限比較

新旧WiMAX2+速度制限比較

上記表では、ユーザーにとってより有利なポイントを赤字としています。上記表にもとづき、具体的に変わった点をまとめてみると次の通り。まず速度制限に抵触するまでのデータ通信量が3倍以上も緩やかになった上、速度制限が実施される時間は24時間から約8時間に短くなりました。

そのかわり、制限後の最大通信速度に関しては、従来の4Mbps~6Mbps(YouTube HD画質の動画が鑑賞できる程度)から、概ね1Mbps(YouTube標準画質の動画が鑑賞できる程度)に遅くなっています。この点に限り、新しい速度制限はユーザーにとって厳しくなっています。そのため必ずしも、新しい速度制限が「緩和された」とは言えません。

ちなみに旧速度制限でも、本来は制限後の通信速度は「YouTube標準画質の動画が鑑賞できる程度」で、新しい速度制限と変わりませんでした。しかしユーザーからの不満が多く上がったためにこの通信速度が速くなった、という経緯があります。WiMAX2+回線を運用する以下UQコミュニケーションズの公式サイトでも、その旨の注意書きが記載されているので、気になった方は確認してみてください。

WiMAX 2+サービスにおける速度制限の今後の対応について | UQ WiMAX|超高速モバイルインターネットWiMAX2+

速度制限は本当に緩和されたのか?

ほとんどのユーザーにとっては今までより優しいものに

結論から言って多くのメディアが語る通り、速度制限のルールは、ほとんどのユーザーにとって「緩和された」と思ってよいでしょう。わたし自身、月間50GB超のデータ通信量を消費していますが、新しい速度制限のルールになってから(テストを除いて)一度もWiMAX2+の速度制限に抵触していません。

3日間で10GBを使い切れない…

その鍵となるのは、速度制限に抵触するまでのデータ通信量。一般的なスマホユーザーが消費する平均のデータ通信量は月間3GBという統計があります。旧ルールではそれを3日間で消費して速度制限に抵触、新ルールではその3倍以上のデータ通信量を3日間で消費しきってはじめて速度制限に抵触するわけです。

大手携帯キャリアでは月間20GBの大容量プランを展開していますが、その半分のデータ通信量を3日間で消費しないと速度制限に抵触できない、ともいえます。

具体例でみてみましょう。データ通信量を大量に消費する通信として、動画の鑑賞があげられます。以下、世界でも最大の動画サイト「YouTube」で消費するデータ通信量の目安です。

YouTubeデータ通信量目安(10GB)

YouTubeデータ通信量目安(10GB)

みてわかるように画質によって消費されるデータ通信量がケタ違いにかわります。スマホの小さな画面では、標準画質(SD)(昔のアナログテレビの画質)で鑑賞するユーザーが多いかもしれません。

たいして少し大きめな画面を持つスマホやタブレット、ノートPCなどでは高画質(HD)(ハイビジョン画質)の動画を鑑賞するユーザーが多いと想定されます。ちなみにわたしも、スマホで高画質(HD)以上の画質の動画を楽しんでいます。

そこで高画質(HD)のYouTube動画の目安を見てみると、3日間3GBでは1日1.3時間程度(3日間で4時間)の鑑賞で制限に抵触することになりますが、3日間10GBでは1日4.3時間程度(3日間で約13時間)も鑑賞しないと制限に抵触しません。4.3時間といえば映画2本分以上。モバイル通信であるWiMAX2+を使って3日間でこれ以上の利用をするユーザーは少ないのではないでしょうか。

超高画質(フルHD画質)のYouTube動画を鑑賞する際も、3GBでは映画約1本分で打ち止めですが、10GBなら3日間で映画約3本分の視聴が可能。1本分と聞くと多少心許ないものの、3本分の容量なら十分というユーザーがほとんどでしょう。

それよりはるかにデータ通信量の消費が少ないホームページの閲覧やLINEでのテキストメッセージの送受信・音声通話などは、もちろんこれより長い時間を利用してもこのデータ通信量は消費しきれません。

制限が実施される時間帯も重要

速度制限が実施される時間帯が、従来の24時間(13時頃~翌13時頃まで)から18時頃~翌2時頃までに短くなったこともポイントです。たとえば会社や学校の行き帰りにモバイル通信を使い、自宅へ帰ってからは固定回線を使うユーザーは、WiMAX2+を使う時間は朝から18時頃までに収まることが多いのではないでしょうか。ビジネスでWiMAX2+を使うユーザーも、日勤帯での利用がメインでしょう。

つまりそういったユーザーにとっては、18時頃~翌2時頃の時間帯に速度制限に抵触しても影響が少ないわけです。中には「速度制限に影響されず、実質的に使い放題」でモバイル通信を行っているユーザーもいると考えられます。

制限後の概ね1Mbpsならたいていのことができる

3日間10GBの速度制限では、仮に抵触しても通信速度は表にある通り「YouTube標準画質の動画が鑑賞できる」概ね1Mbpsです。これだけの通信速度があれば、例として以下のようなことも普段通り利用できます。

  • ヤフーなど大抵のホームページの閲覧
  • LINEでのテキスト送受信や音声通話
  • パズルゲーム・ポケモンGOなど多くのオンラインゲーム
  • 標準画質の動画鑑賞 ※スマホの小さな画面ならあまり粗さに気にならない

PCやタブレットで高画質な動画を視聴する際は別として、スマホで利用する程度ならあまり気にならないでしょう。

WiMAX2+の3日間10GBの速度制限に抵触してみて分かった具体的な影響
3日間10GBの速度制限に抵触するとどうなるか、実際に試した結果をまとめています。どんな影響があるか把握しておけば、仮に速度制限に抵触しても適切に対処できるでしょう。

こんなユーザーは使いにくくなった

「HD画質のYouTube動画を1日4時間以上視聴する程のヘヴィな利用を、3日間連続で行わないとこの速度制限には抵触しない」という目安は上で示しました。逆に言えば、これ以上のヘヴィユーズをするユーザーなら、3日間10GBの速度制限に抵触する可能性が高いことになります。

そして月間データ通信量無制限のWiMAX2+は固定回線の代替に利用されることも多く、外出先だけでなく自宅でWiMAX2+によるインターネットを楽しむユーザーもいます。そういったユーザーで、なおかつインターネットをヘヴィユーズするようであれば速度制限に悩まされることは多いでしょう。

以前の速度制限なら仮に抵触しても、YouTube HD画質動画が鑑賞できる4~6Mbps程度の通信速度で利用できました。これならPCやタブレットでの動画鑑賞も快適ですし、できることは概ね1Mbpsよりぐっと多いです。つまり、仮に速度制限に抵触しても「気にならない」ユーザーがほとんどだったわけです。

ビジネスで利用している場合も影響を受けているユーザーはいるでしょう。たとえば、10MBを超えるような高画質な画像を大量に送受信したりすることも、仕事によってはあるかもしれません。クリエイター的なビジネスなどでは、夜遅くまで作業が続くこともあるでしょうから、新しい速度制限の影響を受ける可能性もあります。

ただし、このような利用をするユーザーはごく一部です。ご自身の利用と照らし合わせてみて、この速度制限に抵触する可能性があるかイメージしてみるとよいでしょう。繰り返すように、新しい速度制限は「HD画質のYouTube動画を、1日4時間以上視聴する程のヘヴィな利用を3日間連続で行う」程度でないと抵触しません。

新しい速度制限とうまく付き合っていくための対策

3日間10GBまでの速度制限とうまく付き合っていくためには、自分の場合にあてはめて「どのような使い方をすると3日間で10GBのデータ通信量を消費してしまうか」や「概ね1Mpbsの通信速度で困ることがあるか」を、ざっくりとでよいのでイメージしておくことです。

そのイメージさえあれば、そもそもWiMAX2+を使わず固定回線を利用する選択をしたり、節約したりといった調整もできます。逆にこのイメージをもっておけば、たいていの人は「自分には関係ないな」と安心して使えるほど緩やかな制限ともいえます。

以下コンテンツでは、3日間10GBの目安や、概ね1Mbpsの通信速度でどうなるかをまとめています。興味があればあわせてご覧ください。

WiMAX2+の速度制限 - 実際このくらい使えば速度制限にかかる!【データ通信量10GBの目安】
WiMAXで速度制限に抵触する10GBのデータ通信量の目安を紹介。ホームページの閲覧やSNSやLINEの利用、YouTubeなどの利用で具体的にどの程度のデータ通信量を消費するか、具体的な数値を使って目安を紹介しています。
WiMAX2+の3日間10GBの速度制限に抵触してみて分かった具体的な影響
3日間10GBの速度制限に抵触するとどうなるか、実際に試した結果をまとめています。どんな影響があるか把握しておけば、仮に速度制限に抵触しても適切に対処できるでしょう。

まとめ

2017年2月に実施されたWiMAX2+ギガ放題向けの速度制限のルール変更で、多くのユーザーは今までよりWiMAX2+が使いやすくなりました。ただし、制限後の通信速度が「YouTube HD画質の動画がみられる程度」から「YouTube標準画質の動画がみられる程度」と遅くなったことにより、一部ユーザーにとっては以前より厳しいルールとなったことは否めません。

この速度制限とうまく付き合っていくためには、「10GBのデータ通信量はこのくらい」「概ね1Mbpsはこのくらい」とざっくりとでもイメージを持っておくことが重要です。