WiMAXが無制限で利用できるのは嘘?速度制限がある?実際のところを徹底解説

WiMAXが無制限に高速なモバイル通信が使えるサービスというのは嘘なのか、速度制限があるのかを徹底解説。また他の「使い放題」のモバイル通信サービスと比較し、WiMAXの無制限とはどういうものか深堀しています。

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WiMAXの「無制限」は嘘じゃない!!

モバイル通信の多くのプランは、月間●GBのデータ通信量まで利用できて月額●円というかたちで料金設定されています。仮に1ヵ月でそのデータ通信量を消費しきってしまうと、ホームページすら開くのに時間がかかるような超低速な通信を強いられることになります。

モバイル通信をヘヴィに利用するユーザーたちが、この速度制限を嫌がるのは当然でしょう。そしてそんな彼らがたどり着く代表的なサービスが、月間データ通信量無制限で高速なモバイル通信が可能なWiMAXのギガ放題プランです。

WiMAXギガ放題プランには、月間データ通信量をベースにした速度制限のルールはありません。その意味で、「WiMAXは『無制限』で利用できるサービス」というのは本当のことではあります。実際、WiMAXを取り扱う各プロバイダでは「月間データ通信量の制限なし」とか「上限なし」とかさまざまな言い方で「月間データ通信量が無制限」であることを書いています。

また「WiMAXには速度制限があって、実際には月間100GBまでしか使えない」という説明をするサイトがありますが、これは必ずしも正しくありません。(半分は正しいですが…)この点について、くわしくは後述しますね。

WiMAXの速度制限をどうとらえる?

「WiMAXが無制限というのは嘘」と唱える人が、その根拠とするのがWiMAXにある速度制限のルールです。確かにWiMAXには速度制限のルールがあり、その意味でWiMAXが完全に無制限で利用できるサービスでないことは間違いありません。

ただしWiMAXの速度制限は、サービス全体として混雑を回避し正常に利用できなくなるのを予防するために、ごく一部の突出した利用だけを防ぐものです。事実わたしはWiMAXを数年にわたりHD画質の動画をみるなど多少ヘヴィに利用していますが、検証でわざと抵触したときを除きこの速度制限に抵触したことはありません。この速度制限に困っているというユーザーの評判も、ほとんどありません。

WiMAXの速度制限のルールを簡単に振り返っておきましょう。

●通常の通信モード(ハイスピードモード)の速度制限

速度制限に抵触するデータ通信量 3日間で10GBのデータ通信量を消費した場合
制限時の通信速度 概ね1Mbps
制限が行なわれる時間 3日間で10GBのデータ通信量を消費した翌日の18時頃~翌々日の2時頃まで

●特別な通信モード(ハイスピードプラスエリアモード)
※通常は利用しない特別な通信モードです。

速度制限に抵触するデータ通信量 月間7GB
制限時の通信速度 最大128Kbps
制限が行なわれる時間 月末まで

2時頃~18時頃までは実質無制限で利用できる

まずハイスピードプラスエリアモードについては、上述した通り通常は利用しない通信モードなので、今回の記事では除外します。この通信モードについて詳細をしりたい場合は、以下記事を参照してい下さい。

WiMAXハイスピードプラスエリアモードの速度制限は?無料で使える?
何かと誤解されやすいWiMAXハイスピードプラスエリアモードの速度制限の内容と無料で利用する方法について解説。便利な通信モードなので、あらかじめ正しい知識をえてから利用したいものです。

簡単にだけハイスピードプラスエリアモードについて触れておくと、WiMAXでの通信がつながりにくいときに自動的にLTEでの通信に切り替えて通信できるモードのことです。WiMAXでインターネット接続できていれば、このモードは使われません。

ハイスピードモードに戻ると、上記表に記載したように仮にこの速度制限に抵触しても、2時頃~18時頃まではその制限の対象外。つまりこの時間は実質無制限で利用できるというわけです。

3日間10GBという数値を、1日あたりの平均になおすと1日3.3GB。これを30日分で計算してみると約100GBとなり、上でも少しふれたように「WiMAXは月間100GBまで高速なモバイル通信が使える」という半分間違いな言い方がなされることがあります。

月間100GBというのは、「速度制限に抵触しない」ための1つの目安としては、確かにわかりやすいでしょう。(事実このサイトでもこの言い方をすることがあります。) ただしここで説明したように、2時頃~18時頃まで実質無制限で使えることを考えると、「WiMAXは月間100GBまで高速通信が使える」という目安が、必ずしも正確でないことはわかりますね。2時頃~18時頃までは月間100GBを超えても高速通信が使えるわけですから。

YouTubeの動画も鑑賞できる概ね1Mbpsの通信は実質無制限

それから、もう1つ注目したいのは制限時の通信速度。大手携帯キャリアや格安SIMでは、制限時の通信速度は最大256Kbps・最大128Kbpsと非常に低速です。

この通信速度では、ホームページを表示するのにもかなりの時間がかかって快適ではありませんし、動画は非常に低画質な一部の動画しか視聴できません。そもそも「最大」なので、実際には256Kbps・128Kbpsよりも遅くなります。

たいしてWiMAX速度制限時の「概ね1Mbps」では、ホームページは多少もっさりする程度でほぼストレスなく表示できますし、スマホの小さな画面でみる程度の動画なら再生可能です。しかもこちらは「概ね」なので、1Mbpsに近い通信速度、もしくはそれを上回ることも。

そうして見方をかえれば、この概ね1Mbpsの通信について、WiMAXでは使い放題ということもできるのです。ちなみに、あとの段落でも紹介しますが、CMでも頻繁に宣伝されている楽天モバイルの使い放題プラン「スーパーホーダイ」では、「最大1Mpbs」の通信が使い放題なのが売り。これほどの差があるのです。

この点からも「WiMAXは月間最大100GBまで高速通信が使える」という言い方が正しくないことがわかるでしょう。

たいていのユーザーは3日間で10GBなんて使いきれない

3日間10GBの速度制限について、制限がかかったときのことについて考察してきましたが、もっとも重要なのはこの点かもしれません。そもそも3日間で10GBものデータ通信量を消費することがほとんどない、ということです。

10GBのデータ通信量があればどんなことができるのか、いくつか例をだしてみましょう。

項目 10GBでどれくらい使えるか
ホームページ参照

(画像の多いページ/2.5MB)

約4,000ページの視聴が可能
LINEでの音声通話 約166時間の通話が可能
Twitterの利用 約550時間の利用が可能

※動画再生を除く

YouTube標準画質の視聴 約47時間の視聴が可能
YouTube HD画質(720P)の視聴 約13時間の視聴が可能
YouTube HD画質(1040P)の視聴 約7時間の視聴が可能

この中で、ホームページの参照やLINE音声電話、Twitterといった利用では、3日間で10GB使うのは不可能といってよいでしょう。3日間で4,000ページもホームページをみる人はいないでしょうし、LINE音声電話・Twitterにいたっては、仮に3日間(72時間)使い続けたとしても、10GBも消費しません。

唯一、10GBのデータ通信量を消費しそうなのは、この中では動画の鑑賞ぐらい。YouTube標準画質の動画はテレビのアナログ画質で、スマホの小さな画面でならほぼ気にならないですし、パソコンの大きな画面でも画質にそれほどこだわらなければ十分視聴に耐えます。ただアーティストのMVや映像にこだわった映画などを大きな画面の端末で視聴する際は、HD画質(ハイビジョン画質)は欲しいところ。

これをふまえYouTube標準画質の動画なら、約47時間(1日あたり15時間以上)も視聴できるので、まず3日間で10GB使い切るのは無理とっていいでしょう。HD画質のYouTube動画に関しても、HD画質(720P)なら約13時間(1日あたり4時間超)、HD画質(1040P)でも約7時間(1日あたり2時間超)も視聴できるレベル。映画1本を約2時間として、仮にクオリティの高いHD画質(1040P)の映画を1日1本ずつ、3日間連続で視聴しても使い切れない、ということです。

「使い放題」をうたう他モバイル通信サービスとの比較

無制限、と近い言い方で「使い放題」を売りにしているモバイル通信サービスはWiMAX以外にもあります。ここでは、それらサービスとWiMAXを比較してみます。

サービス名 速度制限概要 月額料金
WiMAX 3日間で10GBのデータ通信量を消費した際に翌日18時頃~翌々日2時頃まで制限を実施。制限時の通信速度は概ね1Mbps。 約3,400円~約4,400円※プロバイダによる
楽天モバイル スーパー放題 あらかじめ決められた高速通信可能なデータ通信量(2~24GB)を消費しきると月末まで制限を実施。制限時の通信速度は最大1Mbps。※速度制限に関係なく混雑時間帯(12-13時、18-19時)は最大300Kbpsに制限される 1,480円~5,480円

※プランによる

※契約3年目以降は1,500円追加

※通話し放題(1回10分)も含む

ソフトバンク ウルトラギガモンスター 月間データ通信量50GBのプランを「ほぼ使い放題」と呼ぶ。仮に月間50GBのデータを消費しきると、月末まで最大256Kbpsの低速な通信となる。 9,000円

※テザリング付きなら9,500円

※通話し放題(1回5分)も含む

スマモバ 3日間で3GBのデータ通信量を消費すると、翌日は最大200Kbpsの低速な通信に制限される。 3,980円~

※端末代込み

いかがですか? こうして比較してみると、WiMAXの速度制限がいかにゆるいものかわかるでしょう。たとえば楽天モバイル スーパーホーダイは、ざっくりいうとWiMAXの速度制限時に近い速度「最大1Mbps(WiMAXは概ね1Mbps)」が使い放題といっているので、使い放題のレベルはWiMAXと全く違います。ソフトバンク・スマモバの速度制限も、WiMAXと比べるとはるかにきびしいものです。

WiMAXは速度制限のルールがあるものの、ユーザーからみればデータ通信量を気にせずたっぷり高速なモバイル通信が楽しめるという意味で、もっとも無制限に近いモバイル通信サービスの1つといえるでしょう。

【まとめ】WiMAXはほぼ「無制限」で利用できるサービス

WiMAXには回線の混雑を防ぐための速度制限のルールがあり、完全に無制限で利用できるサービスではありません。ただしその制限のルールが非常にゆるく、ほとんどのユーザーが抵触しないと想定されます。また仮に抵触しても、2時頃~18時頃は速度制限の対象外だったり、制限時にも概ね1Mbpsという通信速度で利用できたりすることから、「ほぼ無制限で利用できる」モバイル通信のサービスであるといえます。