WiMAX ハイスピードプラスエリアモードのつながりやすさ・通信速度徹底検証

WiMAXでは3年契約に対応するプロバイダが増え、3年契約で無料となるハイスピードプラスエリアモードに注目が集まっています。ここでは、ハイスピードモードと比較しハイスピードプラスエリアモードは実際どの程度使えるのか、つながりやすさや通信速度を徹底検証し明らかにしています。

WiMAX3年契約と2年契約のどちらをえらぶべきか迷っている方は、この記事を参考にしていただくとよいでしょう。

Contents

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WiMAXのハイスピードプラスエリアモードとは?【3年契約で注目度アップ】

WiMAXのハイスピードプラスエリアモードとは、WiMAXの契約でユーザーが選択できる通信モードの1つです。WiMAXには以下2つの通信モードがあり、対応のWiMAX端末ではユーザーが自由に通信モードを切り替えることができます。

ハイスピードモード WiMAXによるインターネット接続を行う通信モード
ハイスピードプラスエリアモード WiMAXの電波が届かない場合に、WiMAXよりつながりやいau 4G LTEに自動的に切り替えてインターネット接続を継続するモード

WiMAXは高周波の電波を使うため、高速な通信を行いやすい一方で直進性が強く、LTEのような低周波の電波を使う回線と比較すると障害物をさけづらいのが難点。そのため地下など見晴らしのよくない場所では、LTEの方がつながりやすいのです。

これだけみてみると、WiMAX回線のみを利用するハイスピードモードより、WiMAX・LTEの回線を自動切替してくれるハイスピードプラスエリアモードの方が便利なようにみえますね。

ハイスピードプラスエリアモードの注意点

ただし、ハイスピードプラスエリアモードの利用にあたっては以下3つの注意点があります。

■月間データ通信量7GBまでの制限がある
月間データ通信量無制限のギガ放題プランを契約している場合でも、ハイスピードプラスエリアモードでの通信は月間7GBまでの通信量制限があります。仮にこの7GBを超えて利用すると、ハイスピードモード・ハイスピードプラスエリアモード関わらず、通信速度が月末まで最大128kbpsに制限されます。

■1,005円/月の追加料金が発生
その月に1度でもハイスピードプラスエリアモードを利用すると、「LTEオプション」料金として、1,005円/月が自動的に加算されます。

■対応端末が限られる
全てのWiMAX端末がハイスピードプラスエリアモードを利用できるわけではありません。

3年契約ならハイスピードプラスエリアモードが無料

WiMAXでは2017年に、LTEオプション料金が無料となる代わりに、契約期間が3年となる契約プランが登場しました。このプランを契約すれば、(月間7GBまでという制限はなくなりませんが)ハイスピードプラスエリアモードが0円で利用できるようになり便利です。

3年契約では、以前からあった2年契約と比較して、以下のように解約時の違約金(解約金)を支払う必要がある期間が変更となります。

契約期間 2年契約の場合の

違約金

3年契約の場合の

違約金

1~13ヵ月目 19,000円 19,000円
14~25ヵ月目 14,000円 14,000円
26ヵ月目 0円 9,500円
27~37ヵ月目 9,500円 9,500円
38ヵ月目 9,500円 0円
39~49ヵ月目 9,500円 9,500円
50ヵ月目 0円 9,500円

ハイスピードプラスエリアモード通信速度測定結果

検証に利用したWiMAX機種

今回検証に使ったWiMAX端末はW04。最大通信速度は以下の通りです。

下り最大通信速度 上り最大通信速度
ハイスピードモード 558Mbps 30Mbps
ハイスピードプラスエリアモード 708Mbps(※) 37.5Mbps

※東名阪の一部エリアのみ

速度測定した場所

東京の池袋・新宿・渋谷で計測しました。先に断っておくと、ハイスピードモード・ハイスピードプラスエリアモードの差が出やすいように、わたしの経験上、WiMAXの電波が届きにくいと想定される場所を多めにえらんでいます。そのためハイスピードモードが圏外となる場所が、普通に使っていて体感するより多くなっている筈です。

【検証結果1】池袋駅東口駅前

下り通信速度 上り通信速度 ping値
ハイスピードモード 49.40Mbps 16.66Mbps 31ms
ハイスピードプラスエリアード 47.14Mbps 11.07Mbps 32ms

池袋の繁華街の中なので、周りは障害物になりそうな高い建物に囲まれています。とはいえ、この場所での計測結果はいずれも高速で、ほとんど差はないといっていいでしょう。

【検証結果2】池袋駅東口のビルの中にあるカフェ(窓際から離れた席)

下り通信速度 上り通信速度 ping値
ハイスピードモード 圏外
ハイスピードプラスエリアード 16.16Mbps 5.93Mbps 32ms

特別なコーヒーにのみ認証された「スペシャリティコーヒー」がいただける池袋の人気カフェ「COFFEE VALLEY(コーヒーヴァレー)」で検証しました。このお店は、特に奥の方の席になるとWiMAXの電波が届きにくいようです。一方のハイスピードプラスエリアモードも高速とは言えないものの、HD画質程度の動画も問題なく視聴できるほど十分な通信速度が出ています。

ここに限らず、仮に提供エリア内であっても、建物の構造などによって残念ながら店内でWiMAXの電波が届かないということがときどきあります。そういったときにハイスピードプラスエリアモードで代替ができるのは便利ですね。

【検証結果3】池袋ホテルメトロポリタン22階

下り通信速度 上り通信速度 ping値
ハイスピードモード 圏外
ハイスピードプラスエリアード 8.21Mbps 24.02Mbps 36ms

高層ホテルの22階で計測しています。鉄筋コンクリートの建物内や高い場所では、WiMAXの電場が届きにくいといわれています。そして、その条件にあてはまるこちらでは、ハイスピードモードが圏外に。たいしてハイスピードプラスエリアモードなら、高速と言えないものの、インターネット接続には成功しています。ちなみに上り通信速度の方の計測結果の方が高速ですが、無線の電波状況がわるいと、こういう現象をときどきみかけます。これは上りの通信の方が、低い周波数を利用しているからでしょう。

なお以前同じホテルの20階で試したところ、ハイスピードモードで下り9.69Mbps・上り1.48Mbpsの通信速度が計測されました。こういった場所でもハイスピードプラスエリアモードがあると助かります。

【WiMAX2+徹底検証】鉄筋コンクリートの建物でつながる?どのくらいの通信速度?
鉄筋コンクリートの建物の中でも、WiMAX2+は利用可能。ここではいくつかの検証とわたしの実体験をもとにそのことを証明しています。

【検証結果4】副都心線池袋駅ホーム

下り通信速度 上り通信速度 ping値
ハイスピードモード 34.02Mbps 3.10Mbps 27ms
ハイスピードプラスエリアード 30.70Mbps 11.07Mbps 32ms

副都心線の池袋駅ホームは、地下の奥深い場所にあります。地下でもこのようにWiMAXの電波がキャッチでき、高速な通信速度を記録することもあります。

【検証結果5】副都心線池袋駅→渋谷駅へ向かう地下鉄車内

下り通信速度 上り通信速度 ping値
ハイスピードモード 圏外
ハイスピードプラスエリアード 22.96Mbps 6.79Mbps 28ms

ハイスピードモードは圏外、ハイスピードプラスエリアモードは快適にインターネットが利用できる通信速度が計測されました。UQ WiMAXの公式サイトでは、「副都心線全駅(千川駅~渋谷駅)でWiMAX2+が利用可能」と記載されています。

ここで使える!WiMAX 2+(私鉄・地下鉄)|【公式】UQ WiMAX

しかし使えるのは駅のホームであって、トンネルなどに囲まれ電波状況が悪くなる走行中の車内ではありません。今回検証した副都心線に限らず、残念ながらWiMAXは走行中の地下鉄車内で電波をキャッチできないことが多いようです。通勤・通学で地下鉄を使っている方は、特にハイスピードプラスエリアモードが助かる筈です。

【検証結果6】渋谷駅ハチ公口

下り通信速度 上り通信速度 ping値
ハイスピードモード 24.15Mbps 8.41Mbps 29ms
ハイスピードプラスエリアード 51.79Mbps 16.07Mbps 38ms

ここでは、ハイスピードプラスエリアモードでの計測結果が非常に高速でした。上述したとおり、ハイスピードプラスエリアモードの最大通信速度は高速ですから、それが反映されたものと想定されます。このようにハイスピードプラスエリアモードの方が高速であることが、ときどきあります。

【検証結果7】新宿駅西口駅前

下り通信速度 上り通信速度 ping値
ハイスピードモード 39.41Mbps 21.55Mbps 33ms
ハイスピードプラスエリアード 41.80Mbps 7.77Mbps 33ms

新宿の西口なので、周囲は障害物になりそうな高い建物に囲まれていますが、ハイスピードモード・ハイスピードプラスエリアモード共に高速です。上り通信速度がハイスピードモードの方がはるかに高速だったのは気になりますが、下りはほぼ同等でした。いずれも快適にインターネット接続が行なえるレベルです。

【検証結果8】新宿駅西口地下にあるマクドナルド

下り通信速度 上り通信速度 ping値
ハイスピードモード 圏外
ハイスピードプラスエリアード 43.39Mbps 7.49Mbps 38ms

地下にあるこの店舗は、WiMAXの電波が届く場所がほとんどありませんでした。たいしてハイスピードプラスエリアモードは上記のように、快適にインターネットを利用できるほどの速度が記録されています。

【検証結果9】新宿住友ビル51階

下り通信速度 上り通信速度 ping値
ハイスピードモード 圏外
ハイスピードプラスエリアード 41.44Mbps 7.92Mbps 35ms

繰り返しになりますが、WiMAXの電波はビルやマンションの高層階では届きにくい傾向があります。もちろん、高層階だと必ずつながらないわけではありません。当サイトでの以前の計測では、地上226mの場所にある池袋サンシャイン60展望台で、ハイスピードモードで接続できました 。※下り:36.91Mbps

WiMAXはマンションで使える?高層階は?【検証結果と評判まとめ】
鉄筋コンクリートのマンションや高層階でWiMAX2+が使えるか、評判や検証結果から解説。これらをよく見ると、一概にマンションで使える、使えないと言えないことが分かります。

今回計測した新宿住友ビル51階は、以前は展望スペースがあった場所です。今はレストランの営業のみですが、窓際にかかわらず残念ながらハイスピードモードで接続できませんでした。たいしてハイスピードプラスエリアモードでは、上記のように高速な通信速度を記録しています。

検証結果を基にしたハイスピードプラスエリアモードのメリット

今回の検証結果でわかるように、WiMAXの電波状況が比較的よいとされる東京都心部であっても、残念ながらWiMAXの電波が届かずハイスピードモードで通信できないスポットが点在しています。たいしてハイスピードプラスエリアモードは、ハイスピードモードのこの欠点をよく補ってくれている上、場所によってはさらに高速です。

WiMAXをより快適かつアクティブに利用したいのであれば、ハイスピードプラスエリアモード(LTEオプション)が無料できる3年契約はおすすめです。仮に契約26ヵ月目以降の解約で9,500円の違約金(解約金)が発生してしまうにしても、ハイスピードプラスエリアモードを毎月利用するならLTEオプションの料金(1,005円×25ヵ月分=25,075円)が浮くのでかえってお得ともいえます。3年契約にすることで、たとえ月間7GBでもバックアップの回線が利用できるのは、ユーザーにとっては非常に便利で心強いでしょう。

【参考】実際月7GBってどのくらい利用できるもの?

それでは月間7GBでどの程度のことができるものでしょうか。以下、ざっくりとした目安を表にしてまとめます。
※コンテンツの種類により変化しますので、大まかな目安ととらえて下さい。

■種類毎にデータ通信量を消費する目安

内容 データ量 7GB
メール送受信 約20KB/通 約35万通
メール送受信(1MB添付) 約1MB/通 約7,000通
LINEメッセージ送受信

※300文字

20KB/回 約35万回
LINE音声通話 約1MB/分 約7,000分(約116時間)
LINEビデオ通話 約5MB/分 約1,400分(約23時間)
ホームページ閲覧

※テキストメインのページ

200KB/ページ 約3.5万ページ
ホームページ閲覧

※画像多め

2.5MB/ページ 約2,800ページ
Facebook 70KB/フィード 約10万フィード
Twitter閲覧 300KB/分 約23,000分
YouTube5分視聴

※高画質(HD)視聴

約60MB 約117回(約9時間)
YouTube5分視聴

※標準画質(SD)視聴

約17.5MB 約400回(約33時間)

いかがでしょうか? ハイスピードモードが使えないときに「ときどき」利用する程度であれば、これで十分ではないでしょうか。ちなみにわたしもハイスピードプラスエリアモードをときどき活用していますが、月間7GBを超えたことはありません。

一方YouTubeの高画質(HD画質)の動画をがんがん視聴していると、7GBはすぐに消費してしまいます。しかしたとえば地下鉄車内で、平日に1日1時間(1ヵ月20日間・合計20時間)ずつ、スマートフォンの小さな画面で標準画質のYouTube動画を楽しむくらいなら、月間7GBはまず使い切ることはないでしょう。

【まとめ】WiMAX3年契約でハイスピードプラスエリアモードを積極的に活用しよう!

今回の検証結果からもわかるように、ハイスピードプラスエリアモードがあると助かるシーンは非常に多いです。月間7GBというデータ通信量制限があるものの、YouTube標準画質なら約33時間みられる容量であり、「ハイスピードモードで接続できないときにだけときどき」使う程度であれば十分でしょう。

WiMAXでは多くのプロバイダが3年契約に対応し、2年契約にかわって主流になりつつあります。ハイスピードプラスエリアモードを十分に活用するなら、2年契約で1,005円/月の料金が発生するLTEオプションが無料になる3年契約は非常にお得ともいえます。