ドコモ・ソフトバンク・auといった大手も格安SIMも使わずに、スマートフォンをWiMAXの契約だけで使うことはできるかを徹底考察。仮に可能であれば、通信費用を節約できる上に、月間データ通信量無制限でインターネットが使える環境を手に入れられることになります。
Contents
実際にどういう使い勝手になる?
スマートフォン用の通信契約をWiMAXだけですませることは、現実的に可能なのでしょうか? ここではまず、実際にどんな使い勝手になるのかを考察します。
スマートフォン本体の他、モバイルWi-Fiルーターを持ち歩くことが必要
誰かと通話をしたりインターネット通信をしたりするためには、スマートフォン本体の他、常にWiMAX用のモバイルWi-Fiルーターを持ち歩く必要があります。モバイルWi-Fiルーターはスマートフォン本体と同じかそれ以上にコンパクトなので、慣れれば気にならなくとは思われますが、最初のうちは忘れたり面倒に感じたりするかもしれませんね。
公衆無線LANを活用する手も
最近ではコンビニや飲食店などで誰でも使える公衆無線LANが増えました。モバイルWi-Fiルーターを持ってくるのを忘れたときには、公衆無線LANを代用するのも1つの手です。
たとえば「Japan Connected-free Wi-Fi」は、ローソン・セブンイレブン・ファミリーマートといった大手コンビニやイオン・マルイといった商業施設などで使える無料の公衆無線LANサービス。当サイトでもたびたびおすすめしているサービスです。
Japan Connected-free Wi-Fi公式サイト
特にコンビニなどは数が多いので、モバイルWi-Fiルーターを家に置いてきてしまったときには助かるでしょう。スマートフォンをWiMAXのみで間にあわせているときには、必ず活用したいものです。
通話はLINEかIP電話を利用
スマートフォンを使う回線がWiMAX契約のみであれば、もちろん080・090の電話番号は使えません。とはいえ、仮に080・090の電話番号がなかったとしてもどれほど困るでしょうか。ご自身の普段のスマートフォンの利用を振り返ってみて下さい。
ある調査によると、スマートフォンや携帯電話での(LINEなど以外での)通話時間の平均は1ヵ月30分未満だったとのこと。
https://dime.jp/genre/265099/?first=1
つまり通話のほとんどは、LINEなどのアプリを使っているケースがほとんどなのでしょう。ただこの調査結果を逆にみれば、「LINEを使っていても、1ヵ月30分未満は080・090の電話番号で通話している」という言い方もできます。たとえば会社からの連絡だったり、お店に連絡するときだったり、LINEで代用できない通話もあるということでしょう。
そんなときに便利なのが050番号を使うIP電話サービスです。080・090番号同様に固定電話や080・090番号と通話できる上に、通話料金がやすいのが特長。たとえばIT系サービスの大手NTTコミュニケーションズが運営する050plusなら、月額300円で1つ050の電話番号が利用できることに加えて、通話料金も以下の通り安価です。
050plus | 080/090番号の通話料金 |
国内の一般加入電話宛:3分8円
080・090番号宛:1分16円 |
20円/30秒 |
※いずれも日本全国どこへかけても一律の料金です。
※080/090番号はかけ放題などの割引サービスを除き もっとも一般的な例を掲載
いかがですか? 国内の一般加入電話宛(固定電話宛)なら、050plusの通話料金は080/090番号の実に15分の1、080/090番号宛でも2.5分の1です。また大手携帯キャリアでは1回5分の通話かけ放題のプランの月額料金が1,700円ですが、仮に050plusなら1,700円では1例として以下の通話ができる計算です。
国内の一般加入電話宛:1回6分の電話を53回
080・090番号宛:1回5分の電話を10回 |
LINEなど以外でこんなに通話する方のほうが少ないのではないでしょうか。このように、050plusは080・090番号の代わりになります。
WiMAX・LTEの併用が無難
WiMAXの契約で提供されるモバイルWi-Fiルーターの中には、WiMAXと大手携帯キャリアや格安SIMが使うLTE回線も使える機種が多いです。LTE回線・WiMAXを比較すると建物内・地下などではLTE回線の方がつながりやすいので、モバイルWi-FiルーターでLTE回線も使えるのは便利。特に今回の想定のように、スマートフォンをWiMAXの契約のみで利用する場合は、インターネットが使えないとLINEや050plusでの通話さえできなくなってしまうためLTE回線があった方がよいでしょう。
くわえて、WIMAXを3年縛りの契約にすれば、LTE回線を使う際に本来発生するオプション料金(1,000円/月)を無料にすることが可能です。スマートフォン用の契約をWiMAXのみにする場合は、WiMAXを3年契約として使うのをおすすめします。
なおWiMAX契約でLTE回線を使う場合、LTEによる通信は月間7GBまでです。仮にこれを超えてしまうと、月末までLTE・WiMAXでの通信速度は最大128Kbpsまでに制限されてしまうので注意しましょう。
注意すべきデメリットは?
スマートフォンをWiMAX契約のみで運用すれば大幅な節約が可能ですが、避けられないデメリットもあります。ここではそのデメリットについて解説します。
080/090番号が使えない
仮に今まで080・090番号を使っていたとしても、通信の契約をWiMAXのみとする場合は、(NMPなどで)その電話番号を引き続き利用することはできません。050plusのようなIP電話を契約すれば、050番号を新たに取得して使うことはできますが、今までの080・090番号を引き続き使いたいなら、残念ながらこの方法は対象外になります。その場合は、格安SIMとWiMAXの併用で、大手携帯キャリアより通信費用を節約するということはできます。
2台持ちがほぼ必須となる
スマートフォンはネットワークにつながっていないと、多くの機能が利用できません。もちろんLINEによる電話もホームページを閲覧することもできなくなります。
つまりスマートフォンを便利に使うためにはインターネット回線がほぼ必須となり、WiMAXのみしか契約しないのであれば、スマートフォンとセットにモバイルWi-Fiルーターを常に携帯しなければならなくなるわけです。これはすでに上述した内容ですが、モバイルWi-Fiルーターはコンパクトなので慣れれば問題ないと思われますが、デメリットの1つとしてあげておきます。
080/090番号の方がIP電話より安定して使える…
080/090による通話は、基本的にLTEの電波が届いてさえいれば問題なく利用可能です。たいして050plusは、WiMAXやLTEによるインターネット接続ができる状態である上に、専用アプリがスマートフォン上で正常に機能している必要があります。
利用者の口コミなどを見ている限り、050plusのアプリがインストールされている状態で正常に使えないことはほとんどないようですが、比較すると080/090の通話機能の方が安定性は高いと言わざるを得ないでしょう。アプリが強制終了していたりなどしていたら、050番号への着信ができないわけです。そのためたとえば電話が繋がらないことが重要な損失につながることもあるようなビジネスで使うのは、特に気を付けた方がよいでしょう。少なくとも050plusなどのIP電話では、スマートフォン機種ごとの動作確認が掲載されているから確認してから使うのがよいです。
まとめ<WiMAXのみ契約は決して”ナシ”ではない>
いくつかの注意点はあるもののLTE回線と同様にインターネットが使え、なおかつIP電話による一般的な通話が可能なことから、スマートフォンをWiMAXの契約のみで運用することは決してあり得ないことではないでしょう。契約をWiMAXのみにすることで、月間データ通信量は無制限になる上で、通信費用の大幅な節約が実現できます。
ただし080・090番号を引き継げなかったり、IP電話より080・090番号による通話機能の方が安定性は高かったりすることなどから、運用には注意が必要。ここで示したデメリットについて大きな問題にならないという場合に限り、検討するとよいでしょう。