モバイル通信をえらぶ際に、もっとも悩ましい問題が速度制限。ルールの内容によっては快適にモバイル通信を楽しめないどころか、すぐに抵触してしまい低速な通信速度でストレスになることも。ここではWiMAXと他のモバイル通信の速度制限を比較して、どちらが使いやすいかを解説します。
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モバイル通信の速度制限とは?
モバイル通信サービスを契約する際に、必ずついて回るのが速度制限。一定期間にあらかじめ決められたデータ通信量を消費した際に、一定時間通信速度を制限するルールのことです。「一定時間とはどのくらいか」や「どのくらいのデータ通信量か」はサービスやプロバイダによって異なります。仮に「○○データ通信量無制限」という売り文句があっても、その裏にはなにがしかの速度制限のルールがあるのが一般的です。(「〇〇」の中に入る条件が重要)
たとえば、わたしが使っているWiMAXギガ放題プランは「月間」データ通信量が無制限ですが、3日間で消費したデータ通信量に関する以下のような速度制限のルールがあります。
多くのユーザーにとってむしろ「速度制限はなくては困る」
ただし速度制限というルール自体は、固定回線よりも帯域がはるかに細い無線のモバイル通信を使う際には仕方ないこと、いえほとんどのユーザーから見ると「なくては困る」ものと言えるでしょう。
たとえばモバイル回線を道路に例えてみましょう。当たり前ですが、そこに多くの自動車が通れば渋滞になりスピードが出せません。一般的なユーザーが道路に1台の自動車を走らせているところを、一部のヘヴィユーザーは(例えるなら)、1人で100台や1,000台の自動車を走らせているようなもの。
そういったユーザーの通信を制限しなければ、帯域が詰まってスビートが出せなくなってしまいます。「俺は1台しか自動車を走らせていないのに、なんで1,000台走らせている人と同じように渋滞にはまらないといけないんだ!」って思いますよね。
重要なのはきちんと周知し、そして知っておくこと
初期のモバイル通信では、プロバイダ側は「まさか、100台や1,000台の自動車を走らせるユーザーはいないだろう」と想定して(もしくはそういった事態を想定すらせず)速度制限を設けないサービスもありました。が、それがプロバイダの甘かった点。速度制限のルールが徐々に確立し、ユーザーからの不満を招いてしまうことになります。
今ではモバイル通信について詳しく知らない方でも、「速度制限」というキーワードなら知っている時代。重要なのは、プロバイダ側もそのことをしっかり周知し、ユーザー側もきちんと速度制限のルールを把握しておくことなのでしょう。実際、わたしが使っているWiMAXを含め現在では多くのモバイル通信サービスが、速度制限にサービス紹介の目立つところで説明しています。
WiMAX・ワイモバイル・格安SIM・大手携帯キャリアの速度制限比較
それでは、WiMAXと他モバイル通信サービスの速度制限のルールを比較してみましょう。まずはWiMAX・ワイモバイル・格安SIM・大手携帯キャリアの速度制限比較。
速度制限の発生条件 | 制限時の
通信速度 |
通常時の
通信速度 |
|
WiMAX | 3日間10GBのデータ通信量を消費した際に翌日18時頃~翌々日2時頃まで速度を制限 | 概ね1Mbps | ○ |
ワイモバイル | 3日間10GBのデータ通信量を消費した際に翌日18時頃~翌々日1時頃まで速度を制限 | 概ね1Mbps | ○ |
格安SIM
※一部サービス除く |
月間○GBのデータ通信量を消費した際に月末まで速度を制限
※例 1ヵ月で5GB。 1ヵ月で20GBなど。 |
最大200Kbps | △ |
大手携帯キャリア | 月間○GBのデータ通信量を消費した際に月末まで速度を制限
※例 1ヵ月で5GB。 1ヵ月で20GBなど。 |
最大128Kbps | ○ |
いかがでしょうか? 格安SIMや大手携帯キャリアと比較すると、WiMAXやワイモバイルの速度制限が非常にゆるいことがわかると思います。大手携帯キャリアや格安SIMが月間20GBや30GBのプランを「大容量」として売り出している時代に、3日という短期間で10GBという「大容量」を消費してはじめて速度制限に抵触するわけです。
それから注目すべきは制限時の通信速度。WiMAXやワイモバイルの概ね1Mbpsなら、たいていのホームページはさくさく閲覧できますし、動画もYouTube標準画質程度なら鑑賞可能です。たいして大手携帯キャリアや格安SIMの最大200Kbps・最大128Kbpsでは、動画鑑賞がほとんどできないのはおろか、ホームページすら開くのに時間がかかりストレスが溜まるシーンが多いでしょう。
速度制限が抵触するのは仕方ないこと。とはいえ出来るだけそのルールが緩いサービスをえらびたいものです。
また通常時の通信速度もモバイル通信サービスをえらぶ際の基準の1つ。この4つを比較した場合、安価で使える格安SIMが劣ると言わざるをえません。えらぶプロバイダにより差があるものの、特にランチタイムや夜間帯など混雑が発生しやすい時間は、数百Kbps以下という低速になるサービスもしばしばです。
WiMAXとワイモバイルどちらがおすすめ?
速度制限で比較すると、WiMAXとワイモバイルの条件はほぼ同じ(ワイモバイルの方が若干速度制限に抵触する時間が短い)です。通信速度は、いずれも高速で大きな差はないと考えてよいでしょう。それではWiMAXとワイモバイルのどちらがおすすめでしょうか?
結論からいって、当サイトではWiMAXします。その理由は以下3点です。
- WiMAXの方が初期費用・月額費用共に安い
- WiMAXの方が提供エリアが広い
- ワイモバイルには動画や画像に関する特別な通信制限がある
1つずつ説明します。まず料金についてですが、WiMAXでは大抵のプロバイダでWi-Fiルーターを0円で提供、たいするワイモバイルは数万円程度します。
また月額費用に関しても、ワイモバイルは月間データ通信量無制限のオプションを付けると4,380円で一律(というか提供プロバイダが1つのみ)ですが、WiMAXはプロバイダによって異なり当サイトで推奨している月額最安級のBroad WiMAXなら3,411円。実に900円ほどの差があります。このように、安価に使えてコストパフォーマンスに優れているのは確実にWiMAXです。
次に提供エリアに関して、ワイモバイルでは月間データ通信量無制限にする際、LTEでなくAXGPという回線を使います。そうしてこのAGXPがWiMAXやLTEと比較して提供エリアが狭いのです。その例が以下です。
※それぞれ色がついたところが提供エリア
同じモバイル通信を使うなら、提供エリアが広い方がよいですね。
最後に通信制限について。ワイモバイルではコンテンツに関する以下のような速度制限があります。
ワイモバイルでは「閲覧に影響がない範囲で」と書いていますが、利用したユーザーの中には、「比較すると映像や画像が少し粗くなる」という声も。そのためモバイル通信を使ってうつくしい動画を鑑賞したい、というユーザーにはワイモバイルがすすめにくいのが実際のところ。WiMAXにはこのような制限がありません。
WiMAX・カウントフリーの速度制限比較
カウントフリーとは、特定の通信に関する通信量が無料(カウントされない)となるサービスのこと。一部の格安SIMサービスで採用されています。つまりカウントフリーの対象となる通信をいくら行っても、速度制限に抵触することがない、ということです。
これは確かに大きなメリットといえますが、注意点の多いサービでもあります。たとえばカウントフリーの対象としてTwitterがあげられることが多いですが、Twitter公式アプリでないとカウントフリーの対象にならないとか、Twitterに埋め込まれたYouTubeなどの動画は対象ではないといった制限があるのです。
また例えばBIGLOBE SIMのエンタメフリーオプションでは、YouTube動画がカウントフリーの対象となっていますが、画質については標準画質までと決められています。つまりHD画質以上のきれいな動画を鑑賞しようとすれば、それはカウントフリーの対象にならない、ということです。
YouTube標準画質なら、WiMAXで速度制限に抵触した際の概ね1Mbpsで問題なく鑑賞できます。極論してしまえば「WiMAXで速度制限にかかった程度の通信速度が使い放題」ということです。BIGLOBE SIMではエンタメフリーオプション付きで月額最安1,880円(3GB/月)で使えるので、安価に使いたい場合はおすすめですが、「画質を気にせずがんがん動画をみたい!」ならWiMAXの方が圧倒的に有利です。
カウントフリーは格安SIMのオプションなので、安価に使えるのがメリット。しかし注意点が多く、対象のサービスに限ってみても「高速なモバイル通信が無制限で使える」わけではありません。そのようなサービスが希望であればWiMAXが最適です。
WiMAX・nuroモバイル(5時間使い放題)の速度制限比較
速度制限の発生条件 | 制限時の
通信速度 |
通常時の
通信速度 |
|
WiMAX | 3日間10GBのデータ通信量を消費した際に翌日18時頃~翌々日2時頃まで速度を制限 | 概ね1Mbps | ○ |
nuroモバイル
(5時間使い放題) |
1日5時間までは高速なモバイル通信が使い放題。それを超えると当日中は速度を制限
|
概ね200Kbps | ▲ |
nuroモバイルは(5時間使い放題)、データ通信量でなく利用時間によって速度制限を設ける珍しいタイプのプラン。「1日に5時間もモバイル通信を使わない。」というユーザーには”一見”適したサービスに見えます。月額料金もWiMAXと比較して安い(2,500円~)ので、手軽に使いたいなら検討してもよいかもしれません。
ただし、nuroモバイルで気を付けなくてはならないのは通信速度に関する評判がよくないこと。以下のような口コミを多く見かけます。
nuroモバイルのsimは絶望的に速度が出ない。制限掛かってないのにyoutubeが詰まったりするので辛い。次はどこに乗り換えようかな。
— ほだか3 (@hodaka3) June 3, 2017
回線増強により高速になる瞬間もあるようですが、それほど間を置かず通信速度が遅くなったりとあまり期待できません。一方のWiMAXは、わたしが計測する限り電波状況さえ悪くなければ数十Mbps程度の通信速度が安定して出ています。(100Mbps超という報告も見かけます)以下のように通信速度に満足しているという口コミにも多いです。
wimaxの速度を図ってみたけど、そこそこの数字が安定して出てるね。 pic.twitter.com/GSuVw5MDeb
— ky_yaro (@ky_yaro) August 27, 2017
そもそもYouTube HD画質(720P)の動画も1日約5時間を3日連続で鑑賞しないと1日10GBは消費しきれません。速度制限の内容を考慮してみても実際のところWiMAXの方が使いやすいでしょう。月額料金が1,000円程度高くなりますが、快適にモバイル通信を楽しむならWiMAXの方がおすすめです。nuroモバイルでWi-Fiルーターを購入する場合、1~2万円程度は初期費用としてかかりますが、WiMAXならそれが無料なのも魅力です。
まとめ
WiMAXを含めてですが「○○の通信量が無制限」という文言があっても、速度制限のルールが設けられていないサービスはほぼ皆無です。それぞれなにがしかの速度制限があり、注意点もさまざま。モバイル通信を契約する際は、必ず最初にチェックするようにしましょう。その点WiMAXは3日間10GBという緩い速度制限なので、ほとんどのユーザーは使いやすい筈です。