WiMAXの新端末「W06」の最大1.2Gbpsは実際使えるの?

2019年1月に登場したWiMAX用Wi-Fiルーター「W06」は、最大1.2Gbpsという光回線並の通信速度に対応しています。この数字だけみると「光回線並の通信速度をモバイル環境で使えるのか」と期待してしまいますが、実際のところどうなのでしょうか?

この記事では、W06の最大1.2Gbpsとはどんなものかやどんな注意点があるのか、どのくらいの通信速度を期待できるのか、まとめて紹介しています。

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そもそもW06の最大1.2Gbpsとは?

WiMAXのW06が実現した最大1.2Gbpsという通信速度が、どんな風に実現されていて、どのようにすると使えるのか簡単におさらいしておきましょう。

W06では上の図のように、「4G LTE」「WiMAX2+」の電波をまとめて利用することによって、最大1.2Gbpsという(数字だけみると)光回線並の通信速度を実現しています。

最大1.2Gbpsが使えるのは月間7GBまで

4G LTE・WiMAX2+両方の電波を同時に利用するため、Wi-Fiルーターでは「ハイスピードプラスエリアモード」という通信モードに設定することが必要です。なお、この通信モードは、データ通信量月間無制限のギガ放題プランでも、使えるのは月間7GBまでとなります。

自宅の光回線のように好き放題に使う、というわけにはいきません…。

USB接続が必要でパソコンでの利用を想定

W06で最大1.2Gbpsの通信速度を利用する場合、W06とインターネット接続する機器をUSBで接続しなければなりません。その上でW06とUSB接続できるのはパソコンだけなので、スマートフォンやタブレットは利用できないことになります。

スマートフォンやタブレットでは、本体以外に専用の変換アダプターを使えば接続できる可能性はありますが、変換アダプターを持ち歩く人はあまりみたことがありません…。そのためW06の最大1.2Gbpsは、持ち運び用のノートパソコンなどで使うのが現実的といえるでしょう。

利用できるエリアが限られる上にどこで使えるか分からない…

これが最も重要なポイントかもしれません。W06の最大1.2Gbpsは特別な技術が必要であり、2019年10月時点では宮城県、東京都、埼玉県、愛知県、大阪府の一部エリアでのみの対応となります。

くわえて「一部エリアはどこか」は公開されていないので、仮に東京や埼玉など、ここにあがった地域にいたとしても、自分のいる場所でユーザーには知る術がありません…。

言い換えると、仮に対象と言われる地域にいたとしても「使えていたらラッキー」くらいなもので、ユーザーが主体的に使おうと思って最大1.2Gbpsの通信を使うことはできないわけです。

東京の主要地域で計測してみたが…

以前W03という端末が販売された際、その時点での最大通信速度(下り最大370Mbps)には「東京都渋谷駅周辺から順次対応」となっていました。そこでW06に関しても、「このあたりでの対応は早いのでは?」とあたりをつけ、試みに渋谷駅及び渋谷駅近くの渋谷ヒカリエ前で計測してみました。

(当然ながら、ノートパソコンとW06をUSB接続し、通信モードをハイスピードプラスエリアモードにして計測しています。)

その結果は以下の通り。

【渋谷駅】

【渋谷ヒカリエ前】

どちらも十分に高速な通信速度ではあります。これだけ通信速度があれば、以下にあげるような一部の利用を除いて困ることはないでしょう。

  • FPSのような通信品質に厳しいオンラインゲームをプレイする際
  • 高画質な動画を配信する際
  • 数百MB・数GBを超えるようなファイルを速やかにダウンロードしたい際など

とはいえ光回線並の最大1.2Gbpsを期待して使うとなると、この通信速度では「物足りない…」と感じざるを得ないのではないでしょうか。ちなみに東京の新宿でも計測をしましたが、結果はほぼ変わらず。高速ではありましたが、やはり数百Mbps超の通信速度も珍しくない光回線と比較すると見劣りする感は否めません。

光回線を超えるモバイル通信は5Gまで待つべきか…

遠くない将来に導入されるであろう新しいモバイル通信技術「5G」では、最大10Gbps・最大20Gbpsというこれまでとは比べ物にならない高速通信を実現するといわれています。WiMAXをはじめとしたモバイル通信の世界で光回線を超える通信速度を実現するには、5Gを待つのが現実的のようです。

【まとめ】2019年10月時点では、WiMAXの最大1Gbps超の過信は禁物…

W06で実現できる最大1Gpbs超は、以下にあげるように注意点が多く、これを目的にしてWiMAXの契約を勧められるほどの品質があるとは言えません。

  • 使えるとしても月間7GBまで
  • 基本的にはパソコンのみが対象
  • 提供エリアが限られる上に、正確な提供エリアが公開されていない
  • 仮に提供エリアでも数十Mbps程度の通信速度にとどまる可能性がある

とはいえ、計測結果でもみられるような数十Mbpsにも及ぶような、ほとんどの利用で困ることはない高速な通信速度を月間データ通信量無制限で使えるのはWiMAXの魅力です。光回線並にこだわらないなら、十分におすすめできるポケットWi-Fiサービスといえます。