自宅のペットを外出先から見守る目的から店舗の監視まで、簡単に使えるネットワークカメラが増えました。しかし状況次第では想定しないようなデータ通信量が消費され、速度制限に抵触したりプロバイダから注意を受けたり、問題が発生することが多いのも否めません。
ここではネットワークカメラが消費するデータ通信量がどのくらいか解説すると共に、月間データ通信量無制限で高速なモバイル通信が利用可能なWiMAXで、ネットワークカメラが問題なく利用できるか解説しています。
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ネットワークカメラが消費するデータ通信量はどのくらい?
映像の品質や視聴(録画)時間によってさまざま
ネットワークカメラに限りませんが、映像の送受信は他の通信と比較にならないほど大量のデータ通信量を消費します。たとえばLINEなどで音声通話をする際は、1分あたり1MB程度しかデータ通信量を消費しません。
たいしてYouTubeの動画を視聴する際は、映像の品質によって以下のデータ通信量を消費します。
LINEで消費するデータ通信量を約1MB/分とすると5分で約5MBですから、アナログテレビ画質の標準画質(SD)の場合でも3倍超、ハイビジョン画質のHD画質にすると実に12倍超にもなる計算。
また大手携帯キャリアの大容量プラン(月間20G)でも、仮にYouTube超高画質(HD画質/1080P)の映像なら、たった約14時間の視聴で契約容量を使い切ってしまうことになります。
これだけみても、ネットワークにとって映像の送受信がどれだけインパクトがあることなのか分かりますね。
画質によってこれほど消費するデータ通信量が異なるわけですから、当然ネットワークカメラの視聴(録画)時間の長さによって、消費されるデータ通信量も大きくかわることになります。ネットワークカメラをえらぶ際は、この点を注意しなければなりません。
ネットワークカメラメーカーが示しているデータ通信量の参考例
次にネットワークカメラのメーカーが公開している参考例をみてみましょう。まずは個人向けなどにもよく使われるプラネックス社の「スマカメ」の例です。
『スマカメ/スマカメ ナイトビジョン』は動画の形式にH.264を採用しており、映像再生時も1分間で2~3MB程度と通信量が低く抑えられています(Motion JPEGを採用している他社製ネットワークカメラは1分間で約38MBとなります)。
https://www.planex.co.jp/articles/CS-QR10/001.shtml
ここでいうH.264とは動画の圧縮形式をさし、Motion JPEGと比較すると負荷がかかる代わりに圧縮率が高いと言われています。1分間に3MBなら仮に1時間視聴(録画)すれば180MB、1日中映像を流すなら約4.2GBのデータ通信量を消費することになりますね。
たいして、プラネックス社が書く通り「Motion JPEGを採用する他社製ネットワークカメラ」での映像再生に必要なデータ通信量が38MB/分であれば、たった1時間で約2.3GB、1日なら約55GBも消費してしまうことに。ネットワークカメラによって、これだけ差がでてしまうようです。
もう1つ、事業者用・ビジネス用に使われるクラウド録画防犯カメラサービス「safie(セーフィ)」を例にとってみましょう。以下公式サイトのFAQの引用です。このサービスでは、ネットワークカメラの録画映像をサービス専用のクラウドサーバーに録画保存するようです。
カメラの仕様としては、LTEなどのモバイル回線でも利用可能です。(中略)1日のデータ通信量は 5GB 程度になるため、契約するプランによっては、すぐに通信量の上限に達してしまいます。
通信量の制限に注意して、使用する期間や時間を区切った利用をご検討ください。
常時監視が必要な用途では固定回線でのご利用をお勧めします。
https://safie.link/help/service/mobilerouter/
1日5GBなら月間150GBものデータ通信量になりますから、仮に速度制限に抵触しないように大手携帯キャリアのデータ通信プランを使うなら、毎月10万円を大きく超える費用がかかることになります。
上記FAQにあるように固定回線を使うか、モバイル通信を使うなら期間・時間を区切る必要がありそうですね。
WiMAX2+でネットワークカメラは使える?
WiMAX2+ギガ放題プランは、月間データ通信量無制限で高速なモバイル通信を利用できるサービス。通信環境が悪くなければ、数十Mbps~100Mbpsを超える通信速度が計測されることもあります。
そうして、このスペックで月額費用はプロバイダによって異なりますが、月額約3,400円~約4,400円と格安です。法人契約を用意するプロバイダもあります。Wi-Fiルーターが無料で提供されることが多いため、初期費用は多くのプロバイダで事務手数料3,000円のみですみます。
このスペック・価格でネットワークカメラが使えれば便利ではないでしょうか。ただしWiMAX2+にも速度制限がないわけではありません。このルールが、WiMAX2+でネットワークカメラが使えるか否かの判断基準となります。
鍵になるのは3日間10GBの速度制限のルール
WiMAX2+ギガ放題プランは、月間でのデータ通信量は繰り返すように無制限ですが、回線の混雑を防ぐために以下内容の速度制限のルールがあります。
大手携帯キャリアや格安SIMが月間20GB・30GBを大容量と評して提供している時代に、3日間という短期間で10GBという大容量を使ってようやく速度制限に抵触するわけですから、WiMAX2+のこの速度制限は非常にゆるいといえます。
一般的な利用であれば、ほぼこの速度制限に抵触することはありません。わたし自身、WiMAX2+で月間50~70GBのデータ通信量を消費していますが、テストした際を除いて一度も抵触したことがないです。
先程示したネットワークカメラメーカーの例にあてはめると、スマカメやsafieでは1日中映像を流し続けるといったことがなければ、速度制限に抵触せず使えそうですね。
たとえばスマカメなら、3日間で約56時間(1日あたり約18時間)映像を流し続けてようやく速度制限に抵触する計算です。
WiMAX2+なら常に概ね1Mbpsのデータ通信速度を利用できるともいえる?
WiMAX2+の速度制限では、制限時の通信速度についても大きなポイントとなります。表にあるように、仮に速度制限に抵触しても通信速度は概ね1Mbps。
大手携帯キャリアや格安SIMでは、速度制限時の通信速度は最大128Kbps・最大200Kbpsなのと比較すると、その5~8倍以上も速い計算になります。
そして、概ね1Mbpsなら、これも表にあるようにYouTube標準画質の動画が鑑賞できる程度。ネットワークカメラでもそのくらいの映像であれば、継続して流し続けられることになります。ちなみにわたしがあえて速度制限に抵触した際は、以下の通信速度を記録しました。
下り1.12Mbps・上り0.86Mbpsで、このときは上りが1Mbpsを若干下回りましたがほぼ想定通りです。もしこの通信速度で問題なければ、仮に速度制限に抵触したとしても問題なく使えると言えるでしょう。
ちなみに先程例にだしたsafie(セーフィ)は、公式サイトに通信速度に関し以下のような記述があります。
録画している間、カメラは常に録画データをサーバーにアップロードします。
カメラ1台あたり 常時500Kbps?1Mbps 程度、上り回線の帯域を使用します。
https://safie.link/help/requirements/wi-fi-2/
他のFAQでは「これを下回ると映像の画質が悪くか全く映らない」とあります。
だいたい1Mbpsに近い通信速度が確保できれば、映像が全く映らないということはなさそうですね。ネットワークカメラを利用する際は、データ通信量と合わせて、必要な通信速度を確認するとよさそうです。
まとめ
ネットワークカメラが消費するデータ通信量は、画質と利用する時間によって大きな差があります。
ネットワークカメラを購入したり使い始めたりする際は、モバイル通信を利用するならそれらの点に気を付けて、事前にどの程度のデータ通信量を消費するか個別に確認するとよいでしょう。
ネットワークカメラの運用にWiMAX2+を使う際は、3日間10GBの速度制限に抵触しないか、仮に抵触しても概ね1Mbpsの通信速度で利用を継続できるか確認して下さい。