世の中にはさまざまなモバイル通信サービスであふれており、それぞれ採用している無線の通信規格が異なります。
WiMAX・LTE・AXGP・Wi-Fiといった各無線通信規格の違いがわからない方も多いのではないでしょうか。
扱う規格によってサービスのメリット・デメリットもかわってきます。
ここでは、それらの規格の概要を解説した上で、ポイント毎に比較を行っています。
それぞれの規格の特長や違いを把握することにより、自分にあったモバイル通信のサービスがえらびやすくなるでしょう。
Contents
LTEとは?
LTEとは、大手携帯キャリアや格安SIMなどで主に利用されているモバイル通信の規格。
大手携帯キャリアでは、それまでW-CDMAやCDMA2000といった通信技術を使った「3G」と呼ばれる通信規格が主流でしたが、それをグレードアップした規格として登場したのがLTEです。
3Gの「G」とはGeneration(世代)の略で、第3世代のモバイル通信の規格を意味します。
たいしてその3Gの技術を「Long Term Evolution」(長期的な進化)させようとした規格が、この頭文字をとりLTEと名づけられました。
なお、LTEは本来3Gから4Gへ進化する過程の技術として開発され、3.9Gと呼ばれることがあります。
しかし現在では国際電気通信連合に認められたため、LTE自体が4Gと呼ばれるようになっています。
それまでの3Gでは通信速度が最大7Mbpsでしたが、LTEでは最大100Mbps超と10倍以上になりました。
LTEの登場により、モバイル通信が自宅のブロードバンド回線に近い品質を実現したといえます。
AXGPとは?
PHSサービスの提供で知られたウィルコム開発のモバイル通信規格「XGP(eXtended Global Platform)」をグレードアップしたのが「AXGP(Advanced eXtended Global Platform)」です。
現在は、ウィルコムからXGPを引き継いだソフトバンク系のWireless City Planning社によって、「ソフトバンク 4G」という名称でAXGPをサービス展開。
最大通信速度は110Mbpsです。
WiMAXとは?
WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)は、光回線やADSLの敷設が困難な地域や人口希薄地域で、高速通信を実現するための「ラストワンマイル」(電話線の代替)として開発された無線通信規格です。
WiMAXに移動中の通信機能を加えた規格を正しくは「モバイルWiMAX」と呼び、KDDIグループのUQコミュニケーションズがこの技術を使ってサービス提供(UQ WiMAX)を始めました。
日本で提供されるWiMAXの最大通信速度は当初40Mbpsでした。
さらにその後、WiMAXをアップグレードしたWiMAX2+もUQコミュニケーションズによってリリースされ、こちらの最大通信速度は当初110Mbpsでした。
Wi-Fiとは
「無線で通信する技術」という意味では、前述のLTE・AXGP・WiMAXと同じですが、その3つとWi-Fiとはそもそもコンセプトが異なります。
Wi-Fiとは自宅や事務所など限られた範囲でのネットワークを確立するための無線通信技術、一方のLTE/AXGP/WiMAXはインターネットへ接続するための無線通信技術です。
Wi-FiとLTE・AXGP・WiMAXそれぞれの役割を図にしたのが以下です。
ご覧の通りWi-Fiルーターを境にして、それぞれ役割分担が異なっています。
言い換えるとWi-Fiだけではインターネットにつなげることができません。
モバイル通信のサービスは、Wi-FiとLTE/AXGP/WiMAXのいずれかの技術を組み合わせて提供されるわけです。
LTE・WiMAX・AXGPの比較表
通信速度に関して
最大通信速度に関してはWiMAX2+が最も高速。たいして実際の通信速度に関しては、格安SIMのLTE回線は他と比較して低速ですが、その他に関しては多少の差があるもののどれも高速で、大きな差はつけられません。
データ通信量・主な価格帯
月間データ通信量無制限で利用するのであれば、AXGP(ワイモバイル)・WiMAXを使うのが一般的。
LTEにも月間データ通信量無制限のスマモバというサービスがありますが、3日間の合計データ通信量が3GBを超えると速度制限が行なわれてしまいます。
この速度制限に抵触すると翌日の通信速度が最大128Kbpsという低速になるので、ワイモバイルのAXGPやWiMAXの方が使い勝手は断然よいです。
次に価格帯ですが、月間データ通信量無制限かつ料金が安いサービスがあるのはWiMAX。
ワイモバイルのAXGPもデータ通信量無制限ですが、WiMAXは料金の安いプロバイダなら約3,500円/月程度から利用できます。
これらの点から、この3つの回線を比較すると、最も低価格で月間データ通信量無制限で利用できるのはWiMAXということになります。
つながりやすさについて
低い周波数帯(700~900MHZ)のプラチナバンドと呼ばれる電波を使えるLTEは、2.5GHzという高周波の電波を利用するAXGP・WiMAXよりつながりやすい傾向にあります。
高い周波数帯の電波は、通信速度が速い代わりに、直進性が強く障害物をすり抜けにくいためです。
ただし、高い周波数帯の電波を使うAGXP・WiMAXが必ずしもつながらないわけではなく、あくまで「LTEと比較すると」という程度。
いずれも無線のモバイル通信技術なので、屋内の奥まった場所や地下などで電波が通じにくくなるのは同じと考えてください。
提供エリアについて
最も利用人数が多いLTEが、提供エリアが最も広くなっています。
提供エリアの広さ・つながりやすさをあわせて考えると、LTEはモバイル通信の中では優等生的存在と言えば分かりやすいでしょうか。
次に提供エリアが広いのはWiMAX、そしてAXGPがもっとも提供エリアは狭いです。
そのため価格やつながりやすさという点で考えると、使い放題のサービスとしてはAXGPよりWiMAXの方が使いやすいでしょう。
優等生のLTEと比較すると、WiMAXは「ちょっと尖ったところのある目立つ転校生」といった感じでしょうか。
まとめ
LTE・WiMAX・AXGP・Wi-Fiといったモバイル通信の各規格も、その技術的な背景や特長を理解すると違いがわかりやすいですね。
また各規格の違いを理解しておけば、それらを使ったサービスもえらびやすくなります。
提供エリアの広さ・繋がりやすさでえらぶならLTE、月間データ通信量無制限で安く使いたいならWiMAXといった風に、それぞれの通信規格の特長を把握して、希望にあったモバイル通信サービスをえらんでくださいね。