WiMAXの3年契約は、どうやら誤解されやすいようです。多くの人が3年契約のデメリットや、この契約で注目されるハイスピードプラスエリアモードに関して誤解しており、この契約のメリットについて正しく理解していません。
WiMAX3年契約は、人によっては大きなメリットのあるプランです。このメリットを活用できる方も、かなり多く存在しています。3年契約のメリット・デメリットをきちんと理解してから、どちらがよいかえらぶようにしましょう。
Contents
そもそもWiMAX3年契約とは?
WiMAX 3年契約のデメリットについて振り返る前に、もう1つの2年契約と何が違うのか理解しておきましょう。2年契約・3年契約の違いは、具体的には以下にあげる2つだけです。
▽LTE通信が使えるハイスピードプラスエリアモードが無料に
WiMAXには標準の通信モード「ハイスピードモード」以外に、ハイスピードプラスエリアモードという通信モードがあります。これらのモードの違いは以下の通りです。
ハイスピードモード | 標準のWiMAX回線を使ってインターネットに接続 |
ハイスピードプラスエリアモード | 標準のWiMAX回線の電波が届かないときに、auのLTE回線に切り替えてインターネット接続を継続 |
これだけみると、ハイスピードプラスエリアモードの方が便利なようにみえますが、ハイスピードプラスエリアモードには以下2つの注意点があります。
- 1度でも使うと1,005円/月の追加料金が発生
- 月間データ通信量無制限のギガ放題プランを契約していても、ハイスピードプラスエリアモードで高速な通信が行えるのは月間7GBのみ
ところがWiMAX 3年契約をえらぶと、上記1,005円/月が無料になります! そのため3年契約は、ハイスピードプラスエリアモードをよく使う人にとってはお得なプランと言えます。
年契約と違約金の発生する期間が異なる
当然ですが、2年契約は2年間の契約の縛りがあり、3年契約には3年間の契約の縛りがあります。そうして、それぞれ以下の通り違約金の発生する期間に違いがあります
契約期間 | 2年契約の違約金 | 3年契約の違約金 | 契約期間 |
1~13カ月目 | 19,000円 | 19,000円 | 1~13カ月目 |
14~25ヵ月目 | 14,000円 | 14,000円 | 14~25ヵ月目 |
26ヵ月目 | 0円 | 9,500円 | 26ヵ月目 |
27~37ヵ月目 | 9,500円 | 27~37ヵ月目 | |
38ヵ月目 | 0円 | 38ヵ月目 | |
39~49ヵ月目 | 9,500円 | 39~49ヵ月目 | |
50ヵ月目 | 0円 | 50ヵ月目 |
3年契約のデメリットは9,500円の違約金がかかる期間が延びること
上の表をみると分かりますが、2年契約・3年契約共に、19,000円・14,000円という特に高額な違約金がかかる期間はかわりません。違いは9,500円の違約金がかかる期間です。違約金が発生してしまう期間が長くなる、という認識に誤りはありませんが、少なくとも2年契約より多くの違約金が発生してしまうわけではありません。
違約金がかかる期間が延びることで考えられる影響
それではもう1つ突っ込んで、9,500円の違約金がかかる期間で考えられるのはどんな影響でしょうか? 具体的には以下2つがあげられます。
- WiMAXを使わなくなるにしろ他社に乗り換えるにしろ、解約がしづらくなる。※違約金を支払わないようにするために、使い続けないといけない期間が長くなる。
- WiMAXを使い続けるとして、同じWi-Fiルーターを長く使い続ける必要がでてくる。
1つ目は言うまでもないですね。上に書いたように9,500円の違約金が発生する期間が長くなるわけですから、それに伴い2年契約と比べて解約のタイミングが取りづらくなります。違約金を支払わないようにするために、2年契約と比較して何ヵ月か余分にもとの契約を利用し続けるなんてこともあるでしょう。確かにこれは3年契約のデメリットです。
そして2番目のデメリット。WiMAXのWi-Fiルーターはたいてい1年に2~3機種ほどが新しくリリースされ、新機能が追加されたり最大通信速度が上昇したりします。
たとえば最大220Mbpsの通信速度に対応したWi-Fiルーター「WX02」がリリースされたのが2015年11月、最大440Mbpsの通信速度に対応したWX03のリリースがその約1年後の2016年12月でした。
その後、全国的にWiMAXのみの通信で最大440Mbps以上だせる機種は2018年11月時点で登場していませんが、(一部地域のみ最大550Mbpsなどはあり)時間が経過すればこのようにより高速な通信速度に対応することもあります。
約2年経過後に事務手数料のみで機種変更に対応するプロバイダもあり
3年契約だからといって、必ずしも同じ機種をずっと使い続けないといけないわけでもありません。当サイトでおすすめしているとくとくBBやBroad WiMAX、So-net WiMAX2+、UQ WiMAXのように、契約から約2年後に事務手数料3,000円のみで新機種と交換をしてくれるプロバイダもあります。
そのプロバイダで継続してWiMAXのサービスを利用し続けることが前提ですが、3年契約で同じ機種を使い続けるデメリットを避けたい場合は、こういったプロバイダをえらぶのもよいでしょう。
多くの人がハイスピードプラスエリアモードを誤解している…
WiMAXの3年契約のイメージを悪くしている大きな原因として、WiMAXの通信モード「ハイスピードプラスエリアモード」に関する誤った理解があげられます。ハイスピードプラスエリアモードが悪く思われているために、この通信モードが無料で使える3年契約も悪くおもわれてしまうわけです。
まずは、WiMAXの2つの通信モードについて振り返っておきましょう。
通信モード名 | 内容 | 追加料金 |
ハイスピードモード | WiMAX回線のみでインターネット接続する通信モード※WiMAX | なし |
ハイスピードプラスエリアモード | WiMAX回線及びWiMAX回線よりつながりやすいLTE回線でインターネット接続するモード。WiMAXの電波が届かない場合に、自動的にLTE通信へ切り替わる | 1,005円/月
※ 3年契約ならなし |
通信の内容からみると、WiMAX回線・LTE回線で自動的に切り替えをしてくれるハイスピードプラスエリアモードの方が便利にみえます。けれど、2年契約ではこのモードを1度でも使うと1,005円/月の追加料金がかかるため、おいそれとは使いません。3年契約では、この1,005円/月のオプション料金が無料となります。
速度制限の考え方が間違っている人が多い…
ハイスピードプラスエリアモードに関する誤解とは、具体的にいうとこの通信モードの速度制限に関してです。ハイスピードプラスエリアモードは、月間データ通信量無制限のギガ放題プランを契約している場合でも、このモードによる高速通信は月間7GBまでという速度制限のルールがあります。
そしてハイスピードプラスエリアモードに関する誤解も、この速度制限についてです。まず誤解している方は、この速度制限について以下のように考えています。
【誤解】
1度でもハイスピードプラスエリアモードを利用するとハイスピートモード・ハイスピードプラスエリアモード関わらず、その月のデータ通信量の合計が月間7GBを超えると速度制限に抵触する
つまり言い換えると、ハイスピードプラスエリアモードを1度でも利用すると、仮にギガ放題プランを契約していてもその月に高速な通信を使えるのは月間7GBまでに制限されてしまうというわけです。
月間データ通信量無制限で高速なモバイル通信が使える、というWiMAX最大のメリットを消してしまうことになります。こんなデメリットの大きな通信モードであれば、仮にそれが「無料になる」と言われても3年契約の魅力は感じられないでしょう。
しかし正しくはあくまで月間7GBのカウント対象となるのはあくまでハイスピードプラスエリアモードで行った通信のみです。ハイスピードプラスエリアモードを使ったからといって、標準のハイスピードモードでの通信も月間7GBまでしか使えなくなるわけではありません。
この誤解は本当に多くて、検索上位のホームページでもよくみられますし、プロバイダのサポートスタッフもこの誤解に基づいた案内をすることがあります。わたし自身、プロバイダのサポートにこの案内をされて、何度か誤りを正したことがあります…。いずれの場合も、最後は理解してもらえましたが…
ハイスピードプラスエリアモードはこんな時に使える!
ハイスピードプラスエリアモードの魅力は、何といってもWiMAXよりつながりやすいLTE通信を使えることです。具体的にどんな場所でつながりやすいかというと、以下の2つをあげることができます。
- 地下や建物の奥まった場所
- 郊外
1つずつ解説します。
地下や建物の奥まった場所でインターネット接続したいとき
WiMAXより使う電波の周波数が低いLTE通信は、障害物を回り込みやすく見晴らしの悪い場所でもつながりやすいのがメリットです。事実、以下のような場所では「WiMAXでは電波をひろえないがLTEならつながる」といったことがあります。
・走行中の地下鉄車内
・地下街
・建物の中で窓から離れた奥まった場所
・ビルの高層階
たとえば地下鉄なら駅のホームではWiMAXでインターネット接続できても電車が走り出すと電波が拾えなくなるとか、喫茶店などで窓際ではWiMAXが繋がっても窓際から離れた奥まった場所の席では電波が弱くなる、なんてことがあります。あとは数十階建てのマンションの高層階などではWiMAXがつながりにくいということもあり注意が必要です。
こんな場所でWiMAXのWi-Fiルーターを使うような場合に、一時的にハイスピードプラスエリアモードでインターネット接続ができるわけです。例えば地下鉄に乗るときだけハイスピードプラスエリアモードを使う、なんて利用方法もあります。
郊外でインターネット接続したいとき
はじめに言っておくとWiMAXも全国展開されており、街中でしかつながらないというわけではありません。ただドコモ・au・ソフトバンクといった大手携帯キャリアで使用しているLTE回線と比較してしまうと、郊外でのつながりやすさがかなわない点は否めません。
特に郊外へよく出張される方などは、ハイスピードプラスエリアモードが役立つでしょう。
実際に1つ例を出して比較してみます。以下は島根県の出雲大社周辺で、それぞれの回線の提供エリアを表した地図です。※2018年11月時点
【LTE(au 4G LTE)】
【WiMAX2+】
観光名所である出雲大社近隣はWiMAX・LTE共に提供エリア内となっています。
その他では、さすがに郊外だけあってLTEでも提供エリアでない場所がひろいものの、こうして比べてみると、LTEの方がつながる場所が多いことがわかりますね。これらの場所でも、ハイスピードプラスエリアモードならインターネット接続できることになります。
WiMAXも郊外でつながらないわけではない…
上のような話をすると「WiMAXは田舎で全くつながらないんではないか」という風に、必要以上に不安になる方がいらっしゃいます。けれどその認識は誤りで、あくまで「LTEと比べれば劣る」程度です。
WiMAXもがんばっていて、郊外での提供エリアも広くなっています。実際、地域によってはLTEとそれほどかわらないレベルの提供エリアを誇るともあるのです。
以下、伊豆半島の提供エリアを比較してみましょう。
【LTE回線】
【WiMAX回線】
いずれにしてもLTEの方が提供エリアは広いものの、WiMAXもそれほど変わらないことがわかっていただけると思います。
ハイスピードプラスエリアモードは月間7GBで十分
上述したようにハイスピードプラスエリアモードには月間7GBという速度制限があります。そのため、仮にハイスピードプラスエリアモードを使う場合でも、「普段は月間データ通信量無制限のWiMAX回線を使い、必要なときだけLTE回線が使えるハイスピードプラスエリアモードに切り替える」ということになります。
ただ、たいていの場合はそういった使い方なら月間7GBで十分の筈です。7GBで実際どのくらい使えるかは、以下の記事でくわしく解説しているので、興味のある方はご覧ください。
この記事で簡単にふれておくと、たとえばスマホの小さな画面でよく視聴されるような、YouTube標準画質の動画であれば、月間7GBあれば約33時間視聴できる目安です。つまり1日あたり1時間以上。
実際にはこのモードを使わない日も多いでしょうし、このくらいあれば十分ではないでしょうか。
まとめ【3年契約やハイスピードプラスエリアモードを使いこなそう】
つながりやすいLTE回線が利用できるハイスピードプラスエリアモードは、WiMAXの電波が届かないときの一時的な代打として重宝します。地下鉄や郊外など、WiMAXの電波が届きにくい場所でも継続してインターネットを使いたい方には、ハイスピードプラスエリアモードはおすすめです。
ハイスピードプラスエリアモードの利用に限り、月間7GBの速度制限があるものの、「WiMAXの電波がとどかないときにだけ使う」ということであれば、それほど不自由する人はいないでしょう。