「キャリアアグリゲーション(CA)」と「4×4 MIMO」は、WiMAXなどのモバイル通信を高速化・安定化するための技術として採用されています。
しかしこれらの言葉を聞いたことがあっても、実際にどのような技術なのは理解していないユーザーも多いのではないでしょうか。
ここではそれぞれの技術の特長や比較、これからの展開について説明しています。
あわせてキャリアアグリゲーション(CA)・4×4 MIMOに関連するWi-Fiルーターの節電モードについても解説。
この記事を読めば、キャリアアグリゲーション(CA)・4×4 MIMOについての理解が深まると共に、これらの技術を使ったWi-Fiルーターをより有効に活用できるようになります。
Contents
キャリアアグリゲーション(CA)とは?
キャリアアグリゲーションは、周波数帯の異なる複数の電波を束ねて同時に利用することにより、通信の高速化・安定化を図る技術のことです。
「キャリア」とは電波、アグリゲーションとは「集める」という意味です。
このように英単語の意味がわかると、”キャリアアグリゲーション”という長い名前も憶えやすいですね。
たとえばWiMAX2+では最大110Mbpsの電波を2つ組み合わせ、最大220Mbpsの通信を実現。
もちろんこの数値は、利用する周波数や通信形式などによってさまざまありますので図は1つの例としてとらえてください。
またキャリアアグリゲーション(CA)によって実現するのは高速化だけではありません。
仮に片方の電波をキャッチできなくてももう一方で通信を継続できるため安定化も期待できます。
4×4MIMOとは?
まずMIMOとは multiple-input and multiple-output の略で、送信側・受信側それぞれ複数のアンテナを利用することにより通信の高速化・安定化をはかる技術です。
モバイル通信だけでなく、自宅で利用するWi-Fiルーター(無線LANルーター)でもMIMOが使われており、機器の入った箱などでこの言葉を目にしたことのあるユーザーも多いのではないでしょうか。
そして4×4MIMOとは、その言葉の通り送受信共に4つずつのアンテナを利用して通信を行うことです。
WiMAX2+用のWi-Fiルーターの機種によってはキャリアアグリゲーション(CA)でなく4×4MIMOに対応したものも。
WiMAX2+ではもともと2つずつのアンテナを使って通信をしていましたが、これらの機種では4つずつに増やすことにより最大220Mbpsの通信を実現しています。
4×4 MIMOは電波が障害物にあたって反射する仕組を活用した技術なので、障害物に囲まれた場所でも通信が安定しやすいというメリットもあります。
キャリアアグリゲーション(CA)と4×4MIMO – どっちが優れている?
キャリアアグリゲーションには近隣の基地局が対応していないと使えないというデメリットがあります。
たいして4×4MIMOには、電波の反射が利用できないような建物の少ない地域では高速化・安定化が図りにくいというデメリットがあります。
このようにそれぞれ特徴が異なる技術であるため、使う環境によってどちらかの方が有利といったことはあるものの、一概にどちらが優れているかは言えません。
それに加えて昨今では、キャリアアグリゲーションと4×4MIMOを両方使うことより更なる高速化・安定化を計っています。
「キャリアアグリゲーション(CA)・4×4MIMOのどちらに対応した機種をえらぶか」よりも、「その両方に対応した機種をえらんだ方がよい」という傾向になっていくでしょう。
Wi-Fiルーターの節電モードとキャリアアグリゲーション(CA)・4×4MIMO
WiMAX2+が扱うWi-Fiルーターは、バッテリーを節約する節電モードが搭載されています。
このモードでは、キャリアアグリゲーション(CA)や4×4MIMOの機能をオフにすることにより節電を実現。
結果その分、通信速度が遅くなったり通信が安定しなくなったりする可能性があるのです。
節電モードを使う際には、このデメリットも覚えておくとよいですね。
環境によっては、通信速度が大幅に変わることがあります。
もし「いつもより通信速度が遅いな」と思ったら、節電モードにしたままになっていないかも確認するとよいでしょう。
まとめ
4×4MIMOとキャリアアグリゲーション(CA)はいずれも、WiMAX2+の高速化・安定化を実現する技術です。
4×4MIMOでは送受信共に4つずつのアンテナを利用、キャリアアグリゲーション(CA)では周波数帯の異なる複数の電波を集めて利用します。
今後は、この2つの技術を両方ともに採用することでさらなる高速化・安定化を実現するWi-Fiルーターが続々と登場するでしょう。