2019年1月、モバイルWi-FiサービスのWiMAXでは、最大1Gbps超という高速な通信速度に対応したルーター「W06」と「HOME L02」という2機種のリリースを発表しました。最大通信速度のみでみれば、光回線にも劣らないと言えます。
けれど2019年1月時点では、WiMAXで最大1Gbps超の通信を利用するには注意点が多く、使う機会が限られてしまうと想定されます。ここではその理由と、どんなときにこの通信速度が利用できるか解説しています。
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WiMAXはどのようにして最大1Gbpsを実現したか
2019年1月にリリースが発表された「W06」「HOME L02」では、正確に言うとWiMAXの回線だけで最大1Gbpsの通信を実現させているわけではありません。以下に示すイメージ図にあるように、WiMAX回線とスマホや格安SIMでもおなじみのLTE回線両方を組み合わせて最大1Gbps超を実現しているのです。
最大1Gbpsはハイスピードプラスエリアモード利用時のみ
WiMAXのことをまだよく知らない方は、「LTE回線を使うことに何か問題があるの?」と考えるかもしれません。けれどWiMAXを利用するにあたって、LTE回線を使うか否かで使い勝手に大きな差が出てくるのです。
WiMAXの契約では、ユーザーは以下2種類の通信モードをルーターの設定で切り替えることができるようになっています。
ハイスピードモード | WiMAX回線のみを利用した通信 |
ハイスピードプラスエリアモード | WiMAXの電波がとどかない場所では、LTE回線を利用する通信モード
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WiMAX回線とLTE回線を比べると、LTE回線の方が提供エリアは広い上に、地下などの電波が届きにくい場所でもつながりやすいという特徴があります。
そのためこの表をみる限り「ハイスピードプラスエリアモードの方が便利。ずっとこっちを使いたい」と考える方がと思います。WiMAXで最大1Gbps超の通信が利用できるのも、ハイスピードプラスエリアモードを利用した際です。けれどこの通信モードには注意点があります。
2年契約では1,005円/月の追加料金がかかる
WiMAXには契約の縛り期間によって2年契約・3年契約の2種類があります。そのうち3年契約では、契約期間が長くなるかわりにハイスピードプラスエリアモードを利用する際の追加料金(1,005円/月)がかからないというメリットがあります。
最近ではWiMAXのほとんどのプロバイダが3年契約をメインにして販売しているため、この点が問題になることは少なくなると想定されますが、2年契約を検討されている方はご注意ください。
2年契約の方が、WiMAXの最大1Gbps超のより高速な通信を使いたい場合はハイスピードプラスエリアモードを利用した時点で1,005円/月の追加料金が発生するということです。
月間7GBまでしか最大1Gbpsは利用できない
WiMAXのユーザーにとって、こちらの方が特に問題かもしれません。WiMAXは月間データ通信量無制限で、高速なモバイル通信を利用できるのがメリットです。けれどそれはWiMAX回線のみを利用するハイスピードモードを利用した場合です。
WiMAX回線+LTE回線を切り替えるハイスピードプラスエリアモードについては月間7GBまでと決まっており、仮にそれを超えるとハイスピードプラスエリアモード・ハイスピードモードかかわらず速度制限が実施されます。速度制限に抵触した場合、通信速度が最大128Kbpsという超低速に制限されてしまいます。
言い換えれば、WiMAXの最大1Gbps超の高速通信は、2019年1月時点では月間7GBまでの利用となるということです。これほど高速な通信速度があるのであれば、大容量のファイルをダウンロードするときに使いたいと考える方も多いと想定されますが、そのような使い方を頻繁にするのにはむきません。
また高画質な動画を視聴する場合を考えても、HD画質レベルならWiMAXの旧機種でも問題なく視聴できますし、その上の4K画質レベルになると、たった10分の視聴で1GB程度の容量を消費することもあるので、月間7GBでは視聴できる時間が限られてしまいます。
WiMAXの最大1Gbps超は提供エリアや接続方法も限られる
さらに注意が必要なのは、2019年1月時点において「W06」「HOME L02」で最大1Gbpsが利用できるエリアが東京と埼玉の一部エリアに限られるということです。提供エリアは順次拡大されるのことですが、他地域は対応を待たなくてはなりません。
また2019年1月時点で最大1Gbps超が実現するためには、LANケーブルやUSBケーブルとパソコンやスマートフォンを接続する必要があります。Wi-Fiでは最大867Mbpsまでになる、ということです。
ルーターが搭載するWi-Fiの規格や技術によって、Wi-Fiで接続した際の最大通信速度は異なります。規格・技術によってはWi-Fiで最大1Gbps超を実現することも可能ではあります。ただしWiMAXでは残念ながら、2019年1月時点ではWi-Fiで最大1Gbpsが出せる技術に対応していません。
まとめ【どんな時にWiMAXの最大1Gbpsを使う?】
WiMAXで最大1Gbpsが利用できるのは月間7GBまでなど、2019年1月の時点では残念ながらいろいろな制約があるのは否めません。これら制約を認識した上で、ときどきハイスピードプラスエリアモードにして最大1Gbpsを使う、といったかたちになりそうです。
とはいえ、モバイル環境で光回線と肩を並べるような最大通信速度に対応したこと自体は夢のあることではあります。新機種リリース・ファームアップなどで今後もっと手軽にWiMAXで最大1Gbps超の通信速度が使えるようになることを期待したいところです。
現時点では「最大1Gbpsを超えるから」という理由だけで、数あるモバイルWi-FiサービスからWiMAXをえらぶまでにはならないでしょう。ただし、ときどきとはいえ最大1Gbps超をつかえるのは事実なので、大きくないとはいえ小さなメリットではあるとはいえます。