新しい事務所や店舗の開設時に、インターネット回線を敷設する際の作業は煩雑で面倒なもの。開通工事までに、時間がかかることにも注意しなくてはなりません。
ここでは事務所・店舗用のインターネット回線向けに、工事不要で安価に使えるWiMAXを採用するメリットや注意点を解説。あわせてWiMAXの便利な活用方法も紹介しています。
Contents
WiMAXを事務所・店舗用インターネット回線にえらぶメリット
月間データ通信量無制限で高速なモバイル通信が利用可能
WiMAXは完全定額制の料金で、月間データ通信量無制限のモバイル通信が利用できるサービス。そのため固定回線代わりに使うユーザーも多いです。
月間データ通信量に上限があると、インターネットの利用を節約しなければならなかったり、速度制限に抵触して仕事にならなかったりします。その上WiMAXなら、高速なモバイル通信を継続して利用するために、データ通信量を追加購入し経費が余計にかかってしまう心配もありません。
工事不要・引っ越し時の手続きも不要
WiMAXは基本的に外出先で使うモバイル通信のサービスであるため、電波の届く範囲ならどこでも利用が可能。そのため光回線のような回線工事がありません。また引っ越しの際の手続きも不要で、専用のWi-Fiルーターを持ち歩くだけで、電波さえ届けばインターネット接続が可能です。
開通までの期間が早い
光回線を新規に敷設する際は、回線工事が行われるまで10日~2週間程度の日数を要することが多いです。一方のWiMAXは繰り返すように回線工事が不要であるため、Wi-Fiルーターさえ手元にとどけば利用可能。
プロバイダによってはオンライン申込の当日のWi-Fiルーター配送にも対応しています。また法人申込を用意するBroad WiMAXでは店舗受取(渋谷・秋葉原)やバイク便(東京23区内のみ)での当日配送にも対応しており便利です。何かと忙しい店舗や事務所開設時、またインターネット回線敷設の申込手続きをわすれてしまったときなどは特に助かりますね。
初期費用・月額費用ともに安価
工事が発生しない上にWiMAXでは、多くのプロバイダで2万円相当の専用端末を無料提供。月額料金はプロバイダ毎に異なり、月間データ通信量無制限のギガ放題プランが約3,400円~4,400円です。以下、NTTコミュニケーションズのOCN光(戸建向け)と料金比較をしてみましょう。
回線種別 | 初期費用 | 月額費用 |
WiMAX2+ | 多くのプロバイダで
事務手数料3,000円のみ |
約3,400円~約4,400円 |
OCN光 | 派遣工事:18,000円
事務手数料:3,300円 ——— 合計:21,000円 |
基本費用:5,100円※2年割適用時
無線ルーター(1G対応):300円 ——– 合計:5,400円 |
両者を比較すると、特に初期費用の安さが際立っていますね。月額費用も最大で約2,000円安くなります。WiMAXなら安価に使えることに間違いありません。
1つの契約で複数台の端末を無線接続可能
WiMAXでは1つの契約でPCやスマートフォン、タブレットなどを同時にインターネット接続可能です。外出先に持ち運べるコンパクトなモバイルWi-Fiルーターの多くの機種では最大10台まで、自宅や事務所など専用で使うホームルータータイプは最大40台まで同時にWi-Fiによるインターネット接続ができます。この程度使えれば、小規模な店舗や事務所では問題ないのではないでしょうか。
事務所・店舗用インターネット回線にWiMAXをえらぶ際の注意点
安定性や通信速度は固定回線の方が上
WiMAXは安価でフットワークの軽い使いやすいインターネット回線ではありますが、通信速度や安定性では固定回線に劣ります。WiMAXの通信速度は電波状況によって大きく変化し、電波状況がよければ数十Mbps~100Mbps程度、悪ければ数Mbps未満に。たいして光回線は、通常は数十Mbps~数百Mbps程度の高速な通信速度で利用可能。これより速度落ちることもありますがごく稀です。
3日間10GBの速度制限あり
WiMAXのギガ放題プランは月間のデータ通信量は無制限ですが、一部ヘヴィユーザーの利用で回線が混雑しないようにするため、以下速度制限のルールが設定されています。
ただし、大手携帯キャリアが月間20GBの大容量プランを売り出しているのと比較すると「3日間で10GB」は非常にゆるいものです。数人程度の事務所でホームページを閲覧したりメールを送受信したりする程度ではとても使い切れないでしょう。以下、10GBのデータ通信量でどの程度のことができるかの目安です。
Skypeビデオ通話のような映像の送受信を伴った内容の通信は別にして、一般的な利用ではたいていこの制限に抵触しないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。また仮に重いファイルを頻繁に送受信するとしても、10GBあれば100MBのファイルを約100回送受信できることになります。
この速度制限があるために、数十人単位の中規模以上の事務所・店舗での利用は難しいかもしれませんが、スタッフ数人単位の小規模な店舗・事務所での利用に支障はないでしょう。
また仮に速度制限に抵触しても、制限が行なわれるのは18時頃~翌2時頃なので一般的なビジネスタイムの範囲外。その上、制限時でも概ね1Mbpsの通信速度で使えるため、ホームページの閲覧程度であれば支障ありません。
2年間(3年間)の契約期間があり
WiMAXは2年間、もしくは3年間の長期契約が前提となったサービスです。3年契約では、WiMAXより提供エリアが広いLTEによるモバイル通信が月間7GBまで速度制限なしに利用できます。
そしてそれぞれ契約更新月以外に解約すると以下にあげる違約金(契約解除料)が発生します。
そのため残念ながらWiMAXは短期契約にはむきません。2年以上の長期に契約することを前提として契約するとよいでしょう。
WiMAXはこんな利用方法もあり
WiMAXは工事不要でフットワーク軽く使えるため、仮にメインの固定回線のとして利用しない場合でも、事務所・店舗用のインターネットとして以下のような使い方をすることもできます。通信速度や安定性の問題で光回線などが必要な場合でも、さまざまな活用方法があるので参考にしてみてください。
光回線開通までの代替回線に利用(回線をストックしておく)
光回線が開通するまでは、上述のように少なくとも10日~2週間程度みないといけない場合が多くあります。その点、WiMAXなら工事不要なので申し込んでからすぐに使えることに加えて、電波の届く場所ならどこでも利用可能です。
そのため光回線が開通するまでの代替え回線として利用するのもよいでしょう。また店舗や事務所の開設が頻繁にあるような場合は、会社に複数のWiMAX用の契約(ルーター)をストックしておき、必要なときに持ち出して使ってもよいですね。
光回線不具合発生時のバックアップとして利用
光回線に問題が発生した際の一時的なバックアップ用として、WiMAXを利用するのもおすすめです。WiMAXなら初期費用・月額費用ともに安価で負担が少ないのもポイント。その上、仮にバックアップとして一時的に利用するとしても、月間データ通信量無制限なのでデータ通信量を気にせず利用できます。
またバックアップとして使わないときには、外回りの営業用や展示会・講習会などの際に使う持ち運び可能なインターネット回線として活用することもできます。各事務所・店舗に用意しておければ、使い勝手よく活躍するでしょう。
WiMAXには法人向けの契約もある
WiMAXは個人契約だけでなく、法人向けの契約プランを用意したプロバイダもあります。法人向けに特別なキャンペーンを用意したり、請求書払いが可能だったりと個人向けとは異なるメリットがあるので、このようなプロバイダの利用を検討するとよいでしょう。
以下、当サイトでおすすめする法人契約が可能なWiMAXプロバイダです。
■UQ WiMAX
KDDIグループのUQコミュニケーションズが運営するWiMAXプロバイダ。WiMAX回線を各プロバイダへ提供するMNOでもあります。
■Broad WIMAX
月額最安級で知られるWiMAXプロバイダ。他の多くのプロバイダが、月間データ通信量無制限で使えるギガ放題プランを月額4,000円超で提供する中、Broad WiMAXでのギガ放題プランは月額3,411円です。Broad WiMAXでも法人向けの契約を用意しています。
まとめ
WiMAXは工事不要、初期費用・月額費用が安価、月間データ通信量無制限でモバイル通信が使えるなどのメリットがあるサービス。小規模な事務所・店舗用のインターネット回線としてなら十分に検討の余地があります。仮にメインのインターネット回線として使えない場合でも、光回線が開通するまでのつなぎとして、また光回線に不具合が発生した際のバックアップ用として活用することも可能です。