安いと言われる格安SIMですが、ことデータ通信に限ってみると大容量が必要なら月間データ通信量無制限のWiMAXの方が安く利用できます。ここでは具体的にどのくらい安くなるかや、WiMAXと格安SIMの料金以外の比較、WiMAX・格安SIM併用のメリットについて説明しています。
Contents
WiMAXと格安SIMの料金の比較
その「安さ」で人気の格安SIMですが、データ通信に限ってみるとケースによっては月間データ通信量無制限のWiMAXの方が安くなることがあります。以下、初期費用・月額費用それぞれでどの程度安くなるか具体例を紹介します。
初期費用は?
契約情報をプロバイダに登録する際に必要になる事務手数料3,000円は、WiMAX・格安SIM共に必要です。次にWiMAX・格安SIM共にスマートフォンの音声通話ではなく、インターネット接続のためのデータ通信専用に利用する場合には、一般的にモバイルWi-Fiルーターを使います。
そしてモバイルWi-Fiルーターの価格ですが、格安SIMでは定番のAtermシリーズが2万円程度、安いものでも1万円程度します。たいしてWiMAXでは、2万円相当のモバイルWi-Fiルーターが、多くのプロバイダでキャンペーン適用により無料。
結果WiMAXは初期費用が事務手数料3,000円のみですむのに対して、格安SIMはえらぶモバイルWi-Fiルーターによって、事務手数料込みで13,000円~23,000円程度します。
月額費用は?
結論からいうと、月間データ通信量が小容量であれば格安SIMの方が安いですが、一定量を超えると月間データ通信量無制限で使えるWiMAXギガ放題プランの方が安くなります。以下、両者の比較表で実際にどのくらいの差があるのかみていきましょう。
格安SIMは楽天モバイルのデータSIMプラン、WiMAXは月額業界最安級のBroad WiMAXを例にしています。
Broad WiMAX
ギガ放題プラン |
楽天モバイル
データSIMプラン |
3,411円
※月間データ通信量無制限
|
月間3.1GB:525円
月間5GB:1,450円 月間10GB:2,260円 月間20GB:4,050円 月間30GB:5,450円 |
※2017年8月時点
いかがでしょうか。最初に述べた通り月間数GB程度の小容量では格安SIMの方が安価ですが、今回のケースでは月間20GBを超えるとBroad WiMAXの方が安いです。その上、Broad WiMAXは月間20GB~30GB以上使ったとしても料金はかわりませんから、そのコストパフォーマンスの高さが分かりますね。
ちなみに楽天モバイルでは、契約した容量を超えて高速なモバイル通信を行いたい場合、980円/GBなどでデータ通信量を追加購入する必要があり、結果的に記載した金額より高くなることもあります。
仮に楽天モバイルの月間30GBのプランと比較すると、Broad WiMAXギガ放題プランの方が月額2,000円以上も安いです。これを年間に直すと約24,000円。決して馬鹿にできる金額ではありませんね。
料金面以外のWiMAX・格安SIMの比較
モバイルWi-Fiルーターを使うサービスをえらぶ場合は、料金以外のポイントも比較したいところ。そこでここでは、通信速度やつながりやすさなど、料金以外の点でWiMAXと格安SIMを比較してみましょう。
WiMAX | 格安SIM | |
通信速度 | ◎ | △ |
つながりやすさ | 〇 | ◎ |
080/090による音声通話 | × | 〇 |
最低利用期間
(契約期間) |
2年間の契約期間あり | データSIMならほとんどのプロバイダで最低利用期間なし
(音声SIMは6ヵ月) |
【比較1】通信速度に関して
格安SIMはえらぶプロバイダによって大きな差がありますが、常時数Mbps~10Mbps程度のことが多いようです。混雑するランチタイムや夜間帯は通信速度が遅くなり、1Mbps未満になることも稀ではありません。
たいしてWiMAX2+は、格安SIMのようにプロバイダ毎に通信速度の差が生じることはないので安心です。電波状況に問題がなければ数十Mbps~100Mbps超を記録することもある上に、時間帯によって通信速度が極端に落ちることも少ないです。(わたしが利用する限りはほぼ皆無)
通信速度ではWiMAXに軍配が上がります。
【比較2】つながりやすさについて
格安SIMが利用しているLTE回線はWiMAXと比較すると低い周波数帯の電波を使っている関係で、障害物をすり抜けられる力が強く、つながりやすいと言われます。そのため地下街や建物の奥まった場所で仮にWiMAXがつながらなくても、LTEなら電波が届くということがあります。
また提供エリアの広さをみても、市街地ではWiMAX・LTE共に差はないものの、郊外へいくと対応する地域が多いのはLTEです。この点で軍配があがるのはLTEです。
WiMAXの契約でもLTE回線が使える
月間7GBまでですが、WiMAXでも対応機種を使えばLTEによる高速通信が可能です。そのためWiMAXの電波が届かない場所でもLTEによる通信が行なえて便利。ただしLTEによる通信を1度でも行った月は1,000円/月が加算される点と、LTE回線が使えるハイスピードエリアプラスモードで月間7GBのデータ通信量を消費した場合、月末まで速度制限が実施され通信速度が最大128Kbpsとなる点は注意しなければなりません。
なお対応のプロバイダでは、3年契約にすることで1,000円/月を無料とすることができます。LTEによる通信が必要となるような郊外や、電波状況のよくない場所でインターネット接続する必要が頻繁にある場合は、3年契約を検討するとよいでしょう。
【比較3】080/090による通話は格安SIMのみの機能
WiMAXには残念ながら080や090番号による通話をする機能がありません。この機能を使う必要があれば格安SIMをえらぶ必要があります。
【比較4】最低利用期間(契約期間)について
WiMAXは2年間の長期契約を基本としたサービスです。契約期間が満了する前に解約すると、手続きの時期によって9,500円~19,000円の違約金が発生することになります。そのためWiMAXは短期利用にはむきません。
たいして格安SIMはインターネット接続のみのデータSIMプランなら多くのプロバイダで最低利用期間や契約期間がなく、短期利用にも適しています。音声SIMのプランでも最低利用期間は6ヵ月~12ヵ月程度のプロバイダが多く、いずれにしろWiMAXより短いです。
WiMAXと格安SIMの併用で大手携帯キャリアより節約も可
上述の通りWiMAXと格安SIMは、それぞれ長所・短所があります。しかし両者を併用することで短所を補うことが可能。格安SIMで080/090通話を行い、高速かつ月間データ通信量無制限のWiMAXでインターネット接続を行います。WiMAXのつながらないエリアや電波の届きにくい場所では、格安SIMでインターネット接続するといった具合です。
WiMAX・格安SIMを併用するメリットはそれだけではありません。au・ソフトバンク・ドコモといった大手携帯キャリアを使うより通信費用の節約にもなるのです。
以下、参考までにドコモのウルトラパックを使った場合と楽天モバイル+WiMAX(Broad WiMAX)の料金比較例です。
■ドコモ vs 楽天モバイル+Broad WiMAX月額料金比較表
ドコモ | 楽天モバイル + Broad WiMAX |
カケホーダイライトプラン:1,700円
ウルトラデータパック(L)(20GB/月) :6,000円/月 SPモード:300円 – 合計8,000円
|
楽天モバイル3.1GB(音声SIM):1,600円
楽天でんわ5分かけ放題:850円 Broad WiMAX:3,411円 – 合計5,861円 |
いかがですか? 楽天モバイルとBroad WiMAXの組み合わせでは月額料金が安い上に月間データ通信量無制限でインターネット接続できるメリットもあります。通信費用を節約したいときは、このようにWiMAXと格安SIMの併用は有効です。
まとめ
インターネット接続が目的であれば、WiMAX・格安SIMを比較すると大容量の利用ではWiMAXの方が安価。モバイルWi-Fiルーター代を無料にできるWiMAXは、格安SIMと比較して初期費用が1~2万円安くなります。月額料金も、消費するデータ通信量が大きくなるほどWiMAXの方が安くなり、月間30GBのプランでは月額2,000円以上節約できることもあります。
またWiMAX・格安SIMを併用することにより、大手携帯キャリアと比較して月額2,000円以上安くできる可能性がある上、月間データ通信量無制限でたっぷりモバイル通信を使えるようになるので、検討してみる価値があるでしょう。